60歳超継続雇用制度について

JAM労働政策局  

 

 1994(平成6)の年金改正に伴う支給開始年齢の繰り延べによって、特別にもらえる年金の支給開始年齢が、1941(昭和16)42日に生まれた人から順次繰り下げられることに対応する要求を掲げていますが、年金制度や高齢者継続雇用給金制度について具体的説明を行います。

1.        年金制度について

(1)    公的年金は2つの法律によって規定されている。
――改正の時につく付則も重要特に1994年改正付則

1) 国民年金法

この法律による給付は次の通り(国民年金法第15)

@老齢基礎年金  
A障害基礎年金
B遺族基礎年金
C付加年金、寡婦年金および死亡一時金

2) 厚生年金保険法

この法律による給付は次の通り(厚生年金保険法第32)

@老齢厚生年金

A障害厚生年金及び障害手当金

B遺族厚生年金

(2)        雇用延長が必要となる理由

1)      1994(平成6)改正による特別にもらえる年金の定額部分支給開始年齢のスケジュール
(報酬比例部分は60歳から支給)

 生年月日    ▼60歳 ▼61 62歳 ▼63歳 ▼64歳 ▼65

男性 S16.4.1以前

女性 S21.4.1以前

 

特別に

もらえ

る年金

 

本来の年金

男性 S16.4.2S18.4.1

女性 S21.4.2S23.4.1

 

特別に

もらえ

る年金

 

本来の年金

男性 S18.4.2S20.4.1

女性 S23.4.2S25.4.1

 

 

 

 

 

本来の年金

男性 S20.4.2S22.4.1

女性 S25.4.2S27.4.1

 

 

 

 

 

本来の年金

男性 S22.4.2S24.4.1

女性 S27.4.2S29.4.1

特別に

もらえ

る年金

の半分

 

本来の年金

但し44年間、528カ月保険料を納入した人は60歳から全額もらえます。

厚生年金制度には、給付額は3割程度の減額になりますが、繰り上げ給付制度もあります。

 生年月日    ▼60歳 ▼61 62歳 ▼63歳 ▼64歳 ▼65

男性 S24.4.2S28.4.1

女性 S29.4.2S33.4.1

 

特別に

もらえ

る年金

の半分

本来の年金

男性 S28.4.2S30.4.1

女性 S33.4.2S35.4.1

 

特別に

もらえ

る年金

の半分

本来の年金

男性 S30.4.2S32.4.1

女性 S35.4.2S37.4.1

 

 

 

 

 

本来の年金

男性 S32.4.2S34.4.1

女性 S37.4.2S39.4.1

 

 

 

 

 

本来の年金

男性 S34.4.2S36.4.1

女性 S39.4.2S41.4.1

 

 

 

 

 

本来の年金

男性 S36.4.2以降

女性 S41.4.2以降

 

 

 

 

 

本来の年金

特別にもらえる年金とは老齢厚生年金定額部分と老齢厚生年金報酬比例部分、付加年金 特別にもらえる年金の半分とは、老齢厚生年金報酬比例部分

3) 被保険者の種類

第1号被保険者――――自営業者、学生など

月額13,300円を直接市区町村役場窓口へ

第2号被保険者――――厚生年金や共済年金などに加入しているサラリーマン、

OL、公務員など

給料(基本給から残業代、通勤交通費にいたる支給総額)17.35%と一時金の1%を労使で決めた負担割合で按分

ただし、実際の計算は毎年の5月、6月、7月の賃金支給総額の平均から等級表に当てはめ標準報酬を決め、これに17.35%を乗じます。(標準報酬等級表は別紙参照)

第3号被保険者――――年収130万円未満の扶養されている配偶者:負担なし

届け出制 届け出時点から2年間だけさかのぼって加入したことになります。夫が転職した場合も届け出を

4) サラリーマンの年金給付

  支給要件―――65歳に達したとき。ただし保険料納付期間と保険料免除期間の

 合計が25年に満たないときはこの限りでない。

(厚生年金保険法42条、国民年金法26)

支給要件を満たすための「25年以上」の組み合わせ(次の3通り)

保険料納付期間

保険料納付期間

保険料免除期間

保険料納付期間

保険料免除期間

合算対象期間

       

合算対象期間とは、専業主婦の場合は19863月以前に、学生の場合は19913月以前の任意加入期間については25年の中に含むとした期間(ただし給付金額計算の場合には含めない。)

5) 老齢基礎年金の支給金額(年額)

保険料を支払った月数+保険料を免除された月数/3

804200円×――――――――――――――――――――――――――

    加入可能年数×12

加入可能年数

生年月日が1941(昭和16)42日以降の人は40

 

6) 老齢厚生年金の支給額(年額)

第1式と第2式と比較して多い方となります。

第1式

1999年再評価の平均標準報酬月額×新乗率(9.510007.1251000)×厚生年金に加入した月数×物価スライド率1.000

第2式

1994年再評価の平均標準報酬月額×旧乗率(1010007.51000)×厚生年金に加入した月数×物価スライド率1.031

平均標準報酬月額は、過去の賃金を現在価値に再評価する作業が必要です。詳しくは、個人個人で社会保険事務所で調べて下さい。

乗率は2000年の改正で下記のように変わりました。

生年月日

旧乗率

新乗率

S15.4.2S16.4.1

8.18

7.771

S16.4.2S17.4.1

8.06

7.657

S17.4.2S18.4.1

7.94

7.543

S18.4.2S19.4.1

7.83

7.439

S19.4.2S20.4.1

7.72

7.334

S20.4.2S21.4.1

7.61

7.230

S21.4.2以降の人

7.50

7.125

7) 特別にもらえる60歳からの年金(特別支給の老齢厚生年金)

報酬比例部分は6)の計算式に同じ。

定額部分(194142日生まれの人から61歳支給となり順次繰り下げ)の計算

1676円×支給率(1.8751.000)×厚生年金の加入月数×物価スライド率

ただし加入月数は444カ月が上限。

生年月日

定額支給率

S15.4.2S16.4.1

1.208

S16.4.2S17.4.1

1.170

S17.4.2S18.4.1

1.134

S18.4.2S19.4.1

1.099

S19.4.2S20.4.1

1.065

S20.4.2S21.4.1

1.032

S21.4.2以降の人

1.000

8) 働きながらもらう年金(在職老齢年金)

     これは、働きながら厚生年金に加入して保険料を支払いながら年金を受け取るという事。

従って、自営業やパート等短時間労働者となり、厚生年金被保険者にならなければ、老齢厚生年金が満額支給されます。 

賃金収入がある場合、8割の年金を支給することとし、賃金(標準報酬。以下同じ。)8割の年金の合計額が22万円となるまで8割の年金と賃金を併給

賃金と年金の合計額が22万円を超えた場合、賃金が37万円になるまでは賃金が2増えれば年金を1停止

賃金が37万円を超えた場合、賃金の増加分だけ年金を停止

年金20万円/月の人が15万円の賃金で働いた場合

20万円×0.815万円=31万円

支給される年金額は

20万円×0.8(31万円−22万円)216万円−4.5万円=11.5万円

9) 年金と税金

公的年金等控除額を差し引いた金額に雑所得として10%の税金がかかります。

公的年金等控除額は次の通り。

65歳未満の者の控除額

公的年金収入(A)

公的年金控除額

130万円未満

70万円

130万円以上410万円以下

(A)×0.2537.5万円

410万円超770万円以下

(A)×0.1578.5万円

770万円超

(A)×0.05155.5万円

 

2.        高齢者雇用継続給付について

−60歳時点に比べて賃金が15%以上低下した状態で働き続ける被保険者の方へ−

〔受給できる被保険者〕

(1) 高年齢雇用継続基本給付金

@ 60歳以上65歳未満の被保険者であって、被保険者であった期間が通算して5年  以上あること。

A 60歳以降失業等給付(基本手当)を受給することなく、60歳時点の賃金に比べ    て85%未満の賃金で就労していること。

(2) 高年齢再就職給付金

@ 60歳以上65歳未満で再雇用された被保険者であって、再雇用される直前の離職時において、被保険者であった期間が通算して5年以上あること。

A 求職者給付の基本手当の支給残日数が100日以上あり、60歳時点の賃金に比べ て85%未満の賃金で就労していること。

 

〔支給金額〕

 高年齢雇用継続給付金及び高年齢再就職給付金の支給額は、各支給対象月ごとに、次の計算式より決定されます。

@  支給対象月に支払われた賃金の額が「賃金月額」の64%未満である場合

    支給額=支給対象月に支払われた賃金の額の25%

A  支給対象月に支払われた賃金の額が「 賃金月額」の64%以上85%未満である 場合

    支給額=−(1621)×支給対象月の賃金額+(13.621)×「賃金月額」

B  支給限度額について

賃金と給付額の合計が396,302円を越える場合は、396,302円からその賃金の 額を差し引いた額が支給されます。

   また、支給額として算定された額が、2,608円以下であるときには、支給されません。

 (注)毎年8月1日に基本手当の賃金日額の改定が行われるが、それと連動して支給限度額も改定される。  

〔支給期間〕

(1) 高年齢雇用継続基本給付金

 被保険者が60歳に到達した月から65歳に達する月までです。

(2) 高年齢再就職給付金

 再就職した日の前日における支給残日数に応じて次のとおりです。

 ただし、被保険者が65歳に達した場合は、その期間にかかわらず、65歳に達した月までとなります。

支給残日数 支給期間

100日 1年

200日 2年

高齢者継続雇用給付金を受けた場合の雇用保険は、65歳になるまでは60歳時点での賃金で支払われます。

以上