JAMは、高騰している原材料の適正価格指導や、中小企業への緊急支援などを求め、5月25日、中川昭一経済産業大臣へ申し入れを行った。
「中小企業にとっては死活問題だ!」と訴える田中慶秋議員
   
「放置すれば雇用・技術・技能の喪失につながる」と豊泉副会長
 
 自動車や橋梁、家電製品など、私たちの生活の中で利用している金属製品の元になる鉄鉱石や、それを溶かすために使われる石炭・コークスなどの原材料の価格が、年明けから高騰し続けている。
 このままでは、多くの中小企業が材料不足で、事業縮小、操業停止の危機に追い込まれ、雇用問題も発生する。
 この現状に歯止めをかけるため、原材料の適正価格の指導や中小企業への緊急支援融資の実施、特殊技術・技能を維持するための雇用対策などを、5月25日、経済産業省に要請。その要請書を豊泉則幸JAM副会長と秋葉輝雄鋳鍛造部会部会長(クボタ・京葉)が中川昭一経済産業大臣に直接手渡した。
 

「政策的対応を検討し、今後中小の状態に特に注意を
払っていく」と中川経済産業大臣(写真:右)は応えた

大臣への要請行動を実現させ、当日も同行した田中慶秋衆議院議員は「原材料の価格が上がっても、現在の市場競争では、完成した製品自体の価格を上げられない現状がある。中小企業にとっては死活問題だ」と、中小の厳しい現状を訴えた。

 中川大臣からは「状況は理解している。政策的に対応も検討し、中小の状況を、今後、特に注意を払っていく。JAMからは、常に中小企業のリアルタイムな情報を提供して欲しい」との回答を得た。

 石炭は、原産地・オーストラリアが大雨の影響で採炭が減少。鉄鉱石や鉄くずなどは大手資源会社の買い占めなどが高騰の原因。
 それにより、中小の鋳物業、鉄骨・橋梁業、金属部品業は、原材料の供給の減少、価格の高騰とダブルパンチを受けている。このままでは、生産が維持できず操業・事業縮小、最悪は、事業停止に追い込まれてしまう。

 今年の春闘でも、交渉の中で6割にあたる組合が会社より原材料の高騰を理由に交渉が難航した。
 雇用問題まで発生すれば、モノづくりの技術・技能が失われる可能性が非常に高い。
 雇用維持とモノづくりの重要性を、JAMは今後も強く国に訴え続けていく。

 要請行動のために、JAM組織内国会議員の田中慶秋議員に尽力していただき、要請時には、同じく組織内国会議員の筒井信隆衆議院議員も協力をお願いした。要請内容の実現のためには政権を担える体制が必要だ。組織内議員を一人でも多く国会に送り、政策実現に向けた運動を強めよう。


【 要 請 内 容 】
  1. 原材料(鋳物用銑鉄、原料炭、コークス)の輸入量の確保及び国内での屑鉄・スクラップの安定確保に向けた政策を講ずること。及び、適正価格への指導を行うこと。
  2. 原材料(鋳物用銑鉄、原料炭、コークス)原産地へ早期増産の要請及び災害復興増産支援の対策を講ずること。(カナダ、オーストラリア、中国など)
  3. 設備の入れ替えに伴う設備投資資金、運用資金、雇用維持など中小企業へ必要に応じた緊急支援融資の実施対策を講ずること。
  4. 自動車、電機、機械、建設業界などと鋳物関係業界の連携による資源リサイクルへの指導を強化すること。
  5. 中小鋳物業(キュプラ・電炉)、鉄工・橋梁業の持つ特殊な技術・技能を維持するための雇用を最優先する対策を講ずること。