JAM農・建機部会からの提言

JAM農・建機部会が2008年2月29日に農林水産省と厚生労働省に申し入れた提言。


1、表示偽装の氾濫は、消費者の信頼を踏みにじった行為。 表記方法の改善が必要

 消費者は、食品に表示されているものを見て判断することがほとんどで、調査でも賞味期限等は、94.3%が意識している。産地表示も国産、輸入で79.2%が意識している。
 原産国に対しても75.9%が意識している。こうした背景から、表示に対する信頼は、今まで非常に高かった。調査では、85.7%が信頼していると回答していた。
 しかし、相次ぐ消費期限の改ざんや使用食材の偽装が発覚し、消費者の信頼を根底から崩す加工食品業界の姿が明らかになった。
 食品の表示は、購買時の大切な指標でありその表記の仕方についての改善が必要である。
   具体的には、
  1. 消費期限等の根拠を明確に標準化すること。
  2. 文字を分かりやすく見やすい場所に大きく表示すること。
  3. 食品添加物など化学薬品のような名称のものについては、いつでもその添加物がどのようなものであるか、誰でも知ることが出来るように、スーパーなどに掲示すること。

2、 食料の海外への依存体質に不安をもつ消費者の姿。 食料の国内確保を求める

 食品の安全性に対しては 、81.8%が不安であると感じている。特に、輸入食品に対しては、86.8%が不安であるとしている。
 その背景は、海外の生産方法に対する不安から来ている。残留農薬に対しては、88%が不安を抱いている。特に、農薬使用の基準の遵守への不安が38.9%、残留農薬の検査が不十分とするのが37.3%と管理の不十分さをあげている。

 不安を解消するために出来るだけ国産品を購入しているという意見もあり、国産に対する信頼と購入意欲は高い。国産品の充実と購入しやすい政策の実現が急務である。
   具体的には、
  1. 海外依存からの脱却と将来の食糧不足に備えて国家プロジェクトとして食料の確保は必須であり海外の生産量に左右されない体制を作る。
  2. 主要先進国並みの食料自給率の水準に向け早期達成を目指す。

3、 国産復活への期待と信頼の維持

 国産に対する信頼は、依然高い。国産と輸入を意識しているのは、79.2%と高いことからも分かる。見える食品が重要であり、問題になった加工食品は、全て生産現場が消費者から見えないところで起きている。
 食料の生産は、生活圏と密接に関係しその風土と共に発展してきた歴史もあり、消費者に見えることが最も大事である。
 地産地消を原点として、国民全体で支える体制作りが必要である。
具体的には、
  1. 国内の土地利用を含めた生産能力の改善で食料自給率を向上させる。
  2. 流通コストなど販売経費の削減を図る。
  3. 担い手の育成と農業従事者の高齢化対策の省力化の推進を進める。
  4. 傾斜地や中山間地域の地形を生かした農地利用作物の開発を行う。

4、 環境に対する取り組みと食育の普及が急務

 消費期限等の表示に消費者が従ってしまうのは、食品に対する判断能力を衰退させるとも考えられる。口に入れても大丈夫なのかは、最終的に自己判断でありその能力を身に付けなければならない。
 同時に、食料に対する入手の難しさや感謝の気持ちも薄れている。いつでも何でも手に入る季節感のなさが異常であることをすでに忘れている。
 こうしたことが、間接的に環境に対する負荷を増大させ輸入食材の増加に繋がっている。

 食育について知っていたのは、43%であった。内容も含めて知らなかったのは、57%と知らないが上回った。関心については、65.3%があると答えている。
 関心がある理由では、食生活の乱れが26%、子どもの心身の健康が24%、生活習慣病が20%となっている。
 食生活に対する問題意識の高さが窺える。感謝の心7%、食品の安全7%、輸入依存への問題8%、廃棄物や自然との調和など環境問題が9%と一定の割合あった。
 関心は高いが、食育についての情報や理解度がまだ低く実際の行動に結びついていない。活動をしているのは、33%に留まった。
 食料の自給率の向上や世界的な食料不足に対応するには、適切な情報提供が必要でありその啓発活動は、欠かせない。また、食料の大量廃棄や輸入によるエネルギーの消費など環境負荷の大きさも情報として提供する必要がある。
   具体的には、
  1. 輸入食料が消費するエネルギーや水を公表し節約する動機付けとする。
  2. 食物の廃棄に対して処理にかかる費用負担を求め全体として廃棄量の削減を行う。
  3. 食物の循環を促進し有機肥料として活用するために消費地と生産地の循環ルートを整備する。
  4. 環境に対する効果と調和を理解するための体験の機会を作り、広く食育の普及を行う。