JAMの2009年春季生活闘争中央討論集会が12月4―5の両日、静岡県熱海市で開かれた。提案された大綱では、@マクロ的な分配のゆがみを正し、改めて「人への投資」を拡充することが重要A労働組合として物価上昇を重視Bワーク・ライフ・バランスの実現に向けた労働時間短縮にもネバリ強く取り組むこととし、地方や単組の議論を経て1月中旬の第14回中央委員会で春闘方針として決定される。
基本的なスタンス
- 個人消費を中心とする内需拡大は、最大の政策課題である。それを抑制してきた主要因は、@非正規雇用の増大により勤労者所得全体が抑制されてきたことA製品価格の引き上げが困難な中で原材料価格が上昇し、中小企業の収益が抑制されたB景気回復期も、未組織労働者、中小企業労働者の賃金・労働条件が抑制され続けたC社会保障分野における将来不安の増大――にある。2009年春季生活闘争では、消費者物価の上昇に対する生活防衛を最重点課題としながら、家計や中小企業や低所得者層が長らく犠牲となってきたマクロ的な分配の歪みの是正を追求する。
- 物価上昇は、企業も家計をも圧迫しており、公正な競争環境の実現が求められていると同時に、勤労者世帯の個人消費を強く抑制している。生活防衛に向けた月例賃金の引き上げを重視し、ものづくり産業の賃金水準の向上を目指す。月例賃金の引き上げについては、個別賃金要求を基本とし、賃金実態の把握をはじめとする取り組みの拡大を目指す。賃金制度の整備や確立が求められているところでは、その取り組みを継続または開始する。
- 最賃法の改正に基づく地域別最低賃金の引き上げに伴い、産業別最低賃金の拡充が求められている。産別をあげて、企業内最賃協定の締結と水準の引き上げをはかっていく。
- 総実労働時間短縮へ向け継続的な取り組みの強化が重要となっている。時間外割増率の引き上げは、その一環として引き続き取り組む。
- 派遣労働者の正社員化と直雇用の非正規労働者に対する処遇の改善を目指す。
- 男女間の賃金格差問題について引き続き取り組む。
- 金融不安の影響について、緊急事態的な企業問題の発生に対しては、春季生活闘争とは切り離した個別の対応をはかる。
- 2009年春季生活闘争は、世界的に激変する経済環境の下で、物価上昇に対する生活防衛、ものづくり産業における「人への投資」の拡充について、個々の企業活動を踏まえた労使の徹底した議論が求められている。そのために、労働組合の強い意志の結集を示すことが重要である。統一要求日における要求提出の集中を始めとして、地協活動を軸とした、JAM全体の共闘体制強化をはかる。
具体的要求
基本的な考え方 月例賃金について消費者物価上昇分に各種是正分等を加えた、ベースアップを要求する。
個別賃金要求
標準労働者要求基準とJAM一人前ミニマム基準を次のとおりとする。
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30歳 |
35歳 |
所定内賃金 |
264,500 |
309,500 |
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18歳 |
20歳 |
25歳 |
30歳 |
35歳 |
40歳 |
45歳 |
50歳 |
所定内賃金 |
158,000 |
172,500 |
208,500 |
244,500 |
274,500 |
299,500 |
319,500 |
339,500 |
平均賃上げ要求
@賃金構造維持分に加え、4,500円以上のベースアップを要求するA賃金構造維持分が把握できない場合は、次の平均賃上げを要求する。
平均賃上げ要求 9,000円以上
企業内最低賃金要求
1.
企業内最低賃金要求基準を締結していない単組では
@18歳以上最賃協定
A全従業員最賃協定
B年齢別最賃協定
のいずれかの締結を要求する。
2.
協定金額に関する基準を次のとおりとする。
@ベースアップ分として2,000円以上を加えた18歳正規労働者月例賃金を、所定労働時間で割り戻した時間額。
A上記の算定が困難な場合は、時間額910円に、東京都最低賃金に対する各道府県最低賃金の比を乗じた額。なお、2008年地域別最低賃金における東京都との格差拡大によって、上記換算値が前年基準を下回る場合は、基準値を変更しない。(注:方針案で修正する)
※18歳未満の労働者に対する適用ルールについては別途定める。
3.
年齢別最低賃金協定基準を次の通りとする。
18歳 |
25歳 |
30歳 |
35歳 |
158,000 |
167,000 |
195,500 |
219,500 |
一時金要求
@年間5月基準または半期2.5カ月基準
A最低到達目標として、年間4カ月または半期2カ月とする。
労働時間に関する取り組み
@月45時間を超える所定外労働時間に対する通常残業割増率を50%に引き上げる。
Aすべての休日割増率を50%以上に引き上げる。
闘争体制
2009年春季生活闘争は、世界的に激変する経済環境の下で、物価上昇に対する生活防衛、ものづくり産業における「人への投資」の拡充について、個々の企業活動を踏まえた労使の徹底した議論が求められている。そのために、労働組合の強い意志の結集を示すことが重要であり、統一要求日における要求提出に全力をあげる。
日程について
(1) |
統一要求日 |
2月24日(火) |
:全単組がこの日までに要求を提出する。 |
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(2) |
統一回答指定日 |
を次の通りとし、全単組が有額回答の引き出しに全力をあげる。 |
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3月17日(火) 、3月18日(水) |
※連合=JCの集中回答日とその前日 |
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(3) |
統一交渉ゾーン |
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1. |
第1次統一交渉ゾーン = 3月2日の週 |
企業の短期、中期の見通しについて交渉する。 |
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2. |
第2次統一交渉ゾーン = 3月9日の週 |
要求に対する統一回答指定日における回答確約を目指す。 |
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(4) |
中小の山場と3月段階の取り組み |
連合の「中小共闘」の方針確定を待って、それに則した取り組みを行う。 |