2010年5月10日

オーストラリア外交通商省
通商大臣 サイモン・クリーン

ブルネイ外交通商省
モハメド・ボルキア大臣

チリ外務省
アルフレド・モレノ・チャルメ大臣

ニュージーランド外交通商省
通商大臣ティム・グローサー

ぺルー通商観光省
マルチン・ペレス・モンテベルデ大臣

シンガポール通商産業省
リン・フン・キャン大臣

米国通商代表部
通商代表 ロナルド・カーク   宛

環太平洋経済連携協定交渉での   
透明性と市民社会参加を保障すること



貿易担当大臣 殿


 過去の貿易協定交渉において労働組合を含む市民社会組織の参加は制限されていた。しかし、このような協定はそれぞれの国において国内法令と同等あるいはそれ以上の影響をおよぼすものである。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉はこれまでの慣習を改め、より公開され、透明で参加型な交渉にする機会を提供している。
 我われは以下の措置が取られることを提案する。

 過去の貿易交渉では一部の国の政府は提案草案、提案あるいは交渉文書の一部を適宜保護されたウェブサイトに掲載したり、認定された助言者に写しを提供してきた。その他の国では情報提供はより制限されていた。TPP交渉において情報はより定期的に、豊富に、入手可能でなければならない。したがって我われはTPPの共同ウェブサイトを作成し、そこに貿易交渉の情報を掲載し定期的に更新することを提案する。そこでは例えば、以下のような情報を掲載すべきである。次回の交渉会議の日時、場所、議題、中心的な交渉メンバーの連絡先、全ての白書、協定草案、提案と対案、貿易などに関するデータ、プレス発表、宣言など。さらにこのウェブサイトには市民社会がそれぞれの国や課題に応じて分析や提案などの文書を掲載することを認め、交渉メンバーはこれらの文書を参照すべきである。特定の課題を巡ってウェブ上のチャットを適宜計画的に行うべきである。このようなウェブサイトは次の交渉会議までに立ち上げるべきである。

 TPPの現行参加国による過去のいくつかの貿易協定交渉では、サイドルームを設けて、認定を受けた市民社会代表に対して交渉過程について適宜ブリーフィングを行い、その意見を聞いてきた。TPP交渉においても2010年6月の第2回交渉から交渉会議ごとにサイドルームを設けることを強く要望する。さらに、その代表の認定手続きが中立的であること、つまり批判的な意見を封じたり、特定の組織をえこひいきしないことを強く要望する。ブリーフィングは定期的で有意義なものであるべきで、各組織が的確な質問をし、有益な提案をできるようにできだけ詳細な情報を提供しなければならない。最も望ましいのは、市民社会組織が交渉の現場でそれを傍聴できることである。

 さらに、市民社会組織が交渉メンバーと他の市民社会メンバーに対して交渉会議の期間中に交渉議題に関してブリーフィングを行う時間と場所を提供すべきである。

 意見聴取は継続的でなければならない。交渉過程を通じて、政府は労働組合と経営者を含む市民社会が交渉過程に実質的に参加できるように定期的な窓口を設定しなければならない。

 TPP参加国で先住民あるいは部族民がいる国は、ILO169号条約に基づき、先住民あるいは部族民に直接影響を及ぼす事項が検討される場合には、適切な手続きにより代表組織を通じてその先住民あるいは部族民と協議をしなければならない。

 以上の措置により交渉の質は飛躍的に向上し、TPPを「21世紀にふさわしい協定」にしようとする各政府の具体的な意思表示となるであろう。最低限、これら措置を実施しなければ、最終的な協定は市民社会の広範な支持を期待することはできない。

オーストラリア労働組合評議会 ACTU
委員長  シャラン・バロー

チリ労働組合連合 CUT
委員長 アルトゥーロ・マルティネス・モリナ

ニュージーランド労働組合評議会 NZCTU
委員長  ヘレン・ケリー

ペルー労働組合連合 CUT
委員長 フリオ・セサール・バザン・フィゲオラ

ペルー労働組合総連盟 CGTP
委員長  マリオ・フアマン・リベラ

シンガポール全国労働組合評議会 NTUC
委員長 ジョン・デ・パイバ

アメリカ労働総同盟・産業別労働組合会議 AFL−CIO
委員長 リチャード・トラムカ