環太平洋経済提携協定(TPP)に関する
オーストラリア外務通商省への意見書
2010年6月21日
オーストラリア労働組合評議会
始めに
1 オーストラリア労働組合評議会(ACTU)はオーストラリアの労働組合のナショナルセンターであり、加盟組合は全ての州と地域の全ての経済分野をカバーしており、180万人以上の労働者を代表している。国際協力を通じて労働者の権利と利益を世界的に守り、推進するための組織、国際労働組合連合(ITUC)の加盟組織である。
2 提案されている環太平洋経済提携協定(TPP)に関して外務通商省に意見する機会が与えられたことをACTUとして歓迎する。このコメントは一般的な原則に関わるものであり、交渉が進展するに従い追加の意見を提出する機会が与えられることを期待する。
3 我々の立場は、国内的、国際的に、安全で、保障された、働き甲斐のある雇用を労働者が確保できるよう取り組んできた経験を反映したものである。我々のコメントは公正さと平等を実現し強化しようとするACTUの目標を反映するものである。
4 ACTUは、この協定が均衡が取れ、良好な雇用の創造を促進し、働く人々の利益と権利を守り、長期にわたり均衡の取れた経済発展をもたらし、健康的な環境をもたらすものになるよう、ニュージーランド労働組合評議会(NZCTU)、シンガポール全国労働組合評議会(NTUC)
アメリカ労働総同盟・産業別労働組合会議(AFL−CIO)とともに、各国政府に働きかけていく決意である。
国際貿易の重要性
5 ACTUはオーストラリアと全世界での持続可能な発展を支持し発展させる立場をとっており、公正貿易の原則に基づく国際貿易が生活水準を引き上げる、最高で究極の手段だと強く信じている。その理由は国際貿易が次のものを支える可能性を持っているからである、―― 雇用の増大、社会的保護の改善、中核的労働基準の実現、持続可能な環境基準、人権規約や民主主義的な価値の遵守。
6 ACTUは世界貿易機関(WTO)が包括的な改革を緊急に必要としていることは認識しているが、にもかかわらずオーストラリアがその目的を達成するのは二カ国間や地域間の協定ではなく、多国間の協定によるべきであると考えている。この立場を取るに至ったのは以下の点に考慮した結果である、―― 世界的な貿易ルールの透明性、利益配分の平等性、貿易転換効果
(訳注1) の緩和、原産地規則
(訳注2) の普遍的適用可能性。
7 多国間協定は大きな優位性を持っているが、TPPは複数国間の協定として、またオーストラリアの利益の観点からも検討する必要がある。
現在の交渉国
8 参加国の多くにとってTPPは二度目、三度目の貿易協定であり、これまでの交渉相手はそれぞれ異なっている。オーストラリアはチリ、ニュージーランド、シンガポール、米国と既に二国間協定を結んでいる。オーストラリアはブルネイとベトナムを含むASEANとも協定を締結している。これらの協定は締結前に描かれた経済的な予測、あるいは期待を裏切ってきている。
9 ACTUは賃金や雇用への影響など、既存の貿易協定の包括的な影響評価を行うよう外務通商省に要請する。このような評価はTPP交渉の情報として提供されるべきである。
10 さらに、既存の貿易協定と提案されているTPPとの関係性を一層鮮明にすべきである。
11 交渉が進展した時点で、提案されているTPPの国内、分野別、地域全体への潜在的影響の総合的な社会経済分析を政府として行い、検討素材として公表することをACTUとして強く要請する。
12 米豪自由貿易協定とシンガポール・オーストラリア自由貿易協定に当って外務通商省が採用した数理経済学的モデルはTPPには採用すべきではない。なぜならそれは歴史上存在したことのない完全で包括的な貿易と投資の自由化により得られるであろうと予測される非現実的な利益を基礎としているからである。特恵的貿易協定
(訳注3) の社会的な、環境上の影響をも考慮していない。
13 外務通商省が利用している計算可能一般均衡(CGE)モデルは多くの非現実的な仮定に基づいており、その仮定が外務通商省の楽観的な「結論」を基本的に決定づけている。その仮定には次のようなものが含まれている。―― 完全雇用、均等要素価格
(訳注4), 単一の「代表的」世帯、購買力、資本移動、貿易収支、原産地、為替交換など。したがって、
「CGEモデルには多くの構造的な細分化や理論的な精緻化の余地を残しており、計量的にも根拠がない。CGEはどんな現実の経済的データでもそっくり表示するように調整することができるし、その計量的な予測は非常にあいまいなので、モデル作成者が採用した理論的設計明細と計量的基準に完全に依存している。このようなモデルがその結論として示す計量的細目は経験上の真実と誤って解釈してはならない。」
(原注1)
14 外務通商省は、TPPは当初から参加国を増やすことが可能なように作られる、と利害関係者に説明している。その際に外務通商省は「創造過程の協定」という言葉を使っている。条文は参加の手続きをはっきりと定めなければならない。既存の参加国からの利害関係者はその過程に参加し協議することが許されなければならない。
投資
15 過去10年間、外国投資制度を自由化する数多くの試みがあった。その中で北米自由貿易協定(NAFTA)の投資条項は投資家と国家の間の紛争解決制度としては現行のものの中では一番進んだものだと言われている。投資家が不公平な扱いを受けたと思ったら賠償を請求する仕組みを用意しており、調印国の裁判所に対して損害賠償の請求をできるだけではなく、国際仲裁所に調印国を訴えることもできる。
16 これにより賠償を求める投資家の権利は著しく強化された。なぜならば、国家間の紛争解決制度と異なり、その不服申し立てに対して答える政府の意思に関係なく賠償請求できるからである。その結果、米国、カナダ、メキシコの投資家はNAFTA協定の当事者ではなく、その協定により何の義務も負っていないにもかかわらず、強い権利を与えられている。
17 投資家と国家の間の紛争解決制度が協定に含まれたことにより、地域、国家、連邦政府の政策や規制により実際の損害を受けるか、あるいは切迫した潜在的損害を受けたことに対して企業が損害賠償請求をできる不当に大きな力を与えることになった(また訴訟を起こすと脅迫することもできる)。これにより、公共の利益のために政策や法律を発展させるために民主的に選出された地方あるいは連邦政府の役割を損ない、民主的手続きをも損なうことになる。
18 さらに、企業による損害賠償請求や請求するという脅かしは、将来に訴訟の恐れを生み、環境保護、公衆衛生、文化、経済、とりわけTPPに参加している発展途上国の経済などの分野で、国内政策形成に「委縮効果
(訳注5) 」をもたらすことになりかねない。民間の権利と公共の利益の間の重大な不均衡を生むことになる。
(原注2)
19 投資家と国家の間の紛争解決制度の中で取り上げられている外国投資家の「公正で平等な待遇」の解釈によっては、またその条件の法的解釈を拡大しようとする企業の努力によっては、外国投資家に対して国内投資家より大きな権利を与える定義を生むかも知れない。その結果、例えば、外国企業に対して国内投資家や国内当事者よりも高い水準の協議などの手続き上の待遇を与えることが必要となる。これは不平等であり、TPPはオーストラリア国内において、国内投資家より大きな権利を外国投資家に与えてはならない。
20 投資を巡る紛争の解決を求める外国企業の救済方法は国内裁判所であるべきである。仲裁と異なり、国内裁判所は傍聴や上告制度を通じて公開が可能である。国内政策や法律問題に関する幅広い範囲で訴えを起こしたい企業の訴えを取り扱う上で最も透明性の高い制度が国内裁判所である。さらに、国際仲裁所が設定される場合は、商業的な仲裁モデルが基礎となる。そこでは投資家の利益が優先され、法律と政府の政策の基礎である公共の利益の観点が犠牲にされる。国家と国家の間の紛争解決制度の持つ透明性の欠如と商業法重視も懸念の種である。
21 投資家と国家の間の紛争解決制度を採用することが投資に関わる紛争を処理する最適の制度か否か、については国際的な合意は存在していない。このことは、4年間の準備と3年間の交渉にもかかわらず、多国間投資協定(MAI)の締結のためのOECD諸国の交渉が1998年に決裂したことによっても明らかである。労働組合を含む広い範囲の非政府の利害関係者も同様の懸念を抱いている。
22 貿易協定の中に投資家と国家の間の紛争解決制度を含める必要性について、合意がないことは米豪自由貿易協定交渉でも明らかであった。このことについて市民社会は懸念を表明する重要な役割を果たし、59の著名な地域組織が投資家と国家の間の紛争解決制度の除外を求めた。交渉に当って、オーストラリアの立場は、発達した法律制度と法の支配の確立した先進国同士の協定では、企業が国内司法制度の外で権利追求ができる投資家と国家の間の紛争解決制度は必要ないというものであり、除外する上で重要な役割を果たした。
23 しかし、重要なことは、かつては投資家と国家の間の紛争解決制度を強く推奨していた米国政府が投資家と国家の間の紛争解決制度を含まない条文に賛成したことである。この交渉経過を振り返り、カプリングとノサルはこう主張している。NAFTAの11章により企業に付与された権限は「相当不快なものとなったので、健全な司法制度を持つ先進国間でNAFTA条項を再現させようとする決意は劇的に減退した。また米国が貿易協定から投資家と国家の間の紛争解決制度を除外することを認めたことは、NAFTA11章の意図しない影響に対してワシントンが嫌悪を強めていることを示していた。」
(原注3)
24 TPPには、国内の企業が訴訟を頻繁に提起してきた米国と、これまで先進国が二国間投資協定を結ぼうとしてきた途上国が、両方含まれていることを考えれば、投資家と国家の間の紛争解決制度を含めようと試みられる、という相当な懸念が生じる。既に述べたように、数多くの理由により、投資家と国家の間の紛争解決制度はTPPに含まれるべきではない。したがって、TPPでは投資家と国家の間の紛争解決制度を除外するよう追求するというオーストラリア政府の保証を求めたい。
25 米豪自由貿易協定では、外国からの投資提案を審査するオーストラリア政府の権限は相当制限された。オーストラリア政府は、公共の利益を守るためには、投資の審査に当り、外国投資審査委員会の役割をこれ以上低下させてはならない。
サービス
26 サービスの貿易を取り扱うに当ってはポジティブリスト手法を取ることをACTUとして強く推奨する。こポジティブリストは次のような意図しない、予測できない、過剰な自由化を防ぐ最適の方法である。
○ 協定が交渉された当時には存在しなかった、あるいは考慮されなかったようなサービスに対する自由化義務の自動的適用を防ぐ。
○ 公共の利益のために規制する政府の権限を不適切に制限することを防ぐ。
○ 新しいサービスが登場した時、あるいはその後で将来の政府が規制する選択肢が制限されない。
○ 包括的な自由化に向けた政策の一方的な動きを抑える。なぜなら、既存の取決めが一旦変更されるとネガティブリスト付属協定から選択した事項を元に戻すことはできないからである。
国内政策決定への影響
27 責任ある政府調達政策を通じて合法的な社会的目標を達成し、良質の公共サービスを低廉な価格で提供するために参加国の政府が公共の利益に従い規制する権限をTPPは制限するべきではない。
28 公共サービスや公共財社会サービスは、政府機関によって提供されるものも、民間供給者によって提供されるものも、特恵的貿易協定からはっきりと明白に除外されなければならない。二国間の貿易構想は医療、教育、水道、廃棄物、電力供給、郵便などの公共サービスを提供するオーストラリア政府の能力に影響するものであってはならないと、定めているオーストラリア労働党の政策綱領にも合致している。
法規制の一貫性
29 消費者保護、サービスの基準、環境保護や金融安定性などの公共の利益のためにも規制は重要である。
30 適切な規制とは何かという定義は異なっており、国際的に承認された基準が欠如しているために法規制の一貫性を発展させようとする努力は困難になっている。例えば消費者保護について共通の定義ができたとしても、似ている国であっても消費者保護を達成する方法は違っているかも知れない。法規制の一貫性を追求するにあたり、このような多様性を尊重すべきであるし、協定の当事国のそれぞれの国内条件にとって適切でない規制が国外で決められた場合その規制を採用する必要はない。
31 さらに、TPPを通じて法規制の一貫性を達成する努力は合法的な政策目標を追求する政府の権限を損なってはならない。例えば、影響を受ける貿易相手に補償しなければ変更できないような義務的な約束はするべきではない。さらに、どのような約束も将来の政府が公共の利益のために規制する能力を制限するものであってはならない。
金融規制
32 世界金融危機は金融規制のための国内、国際レベルで採用されていた枠組みが大きな弱点を持っていることを実証したし、また規制緩和の広がりにより金融制度が自らを規制することを許してきたことの危険性をも明らかにした。規制緩和された金融市場を主張してきたアラン・グリーンスパンの発言もこのことを示しており、「自由市場の自己修正力を信頼し過ぎていた。」と認めている。
(原注4)
33 良く規制され、安定した金融制度の重要性は金融危機そのものによっても明らかとなったが、金融危機に対する対策としてG20の指導者たちが発表したワシントン宣言にも現れている。宣言は「金融市場と規制制度を強化する改革を実現することで将来の危機を回避する」共通の決意を強調している。
(原注5)
34 第一回交渉会議で、参加国はTPPを通じて法規制の一貫性を追求することに関心を抱いていることについて話し合ったと、外務通商省は報告している。このことは、国によって規制が異なったり重複していることが国境を越えて製品を売ろうとしている企業にとって障害を増やす可能性となっていることを示している。
35 一貫性を強めるためにオーストラリアが金融規制制度を変えなければならないような提案に対して、「最小公分母」的な(比喩的に、最も水準が低い)意思決定をする結果とならないよう、オーストラリア政府は保証しなければならない。オーストラリアは強い金融規制制度を持っているので、この点は特に重要である。
36 さらに、法規制の一貫性を強めるために、オーストラリアの金融制度を規制緩和するようなことは受け入れられない。
37 世界金融危機の間、多くのOECD諸国とは対照的に、オーストラリア経済が健全だった最大の要因はオーストラリア金融制度とその規制策の強さにある。このことは2009年の世界経済フォーラムの金融発展指標の結果にも示されている。金融危機の間、オーストラリアは危機の頂点にあっても指標や格付けが改善された数少ない国の一つだった。
(原注6)
38 オーストラリア金融制度の強さは規制構造とプルーデンシャル規制
(訳注6) の強化を勧告した1997年のウォリス報告の改革課題によって基礎付けられた。「四本柱」政策
(訳注7) もまた金融安定性に大きく寄与している。
39 貿易協定によって金融規制の一貫性を追求することにより、州や連邦政府から長期の政策決定責任を奪うことになる。その結果、政策決定過程が市民にとって参加ができにくく、説明責任が果たされない、閉ざされたものになる。さらに、切迫した金融危機に直面した政府が効果的に対処しようとしてこれまで採用してきた規制的、構造的、マクロ経済的改革の政策を取ることを不可能にする。
40 このことは2009年の国際通貨金融制度改革に関する国連総会議長の専門家委員会報告でも確認されている。報告は二国間や多国間での金融市場自由化は「金融安定性、経済成長、脆弱な消費者と投資家の福祉の向上のために規制構造を変えようとする政府の能力を制限する可能性がある」と強調している。
(原注7)
41 二国間や多国間での金融市場自由化を求める政策はワシントン宣言に違反している。金融規制での国際協力の重要性を強調する一方、宣言は「規制は市場の安定のための防衛の第一線である国内の規制当局の最優先の責任である。」と強調している。
(原注8)
医療品給付制度
42 医療品給付制度は医薬品の卸値を規制するものであり、処方薬品の低廉価格維持と、オーストラリアの公衆衛生の保持に不可欠なものである。これらの医薬品にはさらに補助金が付いて手ごろな小売値で販売される。この卸値と補助金付きの小売値との差額が納税者が負担する医療品給付制度の費用である。
43 この医療品給付制度により卸値を規制し、低廉な医薬品を供給する機能を損なうような約束をするべきではない。
中核的労働基準
44 中核的労働基準について国際的な合意が形成されつつあることに従い、ACTUはオーストラリアが参加する全ての特恵的貿易協定は1998年の労働における基本的原則と権利、ILO宣言で定められている中核的労働基準と普遍的人権基準に合致し、損ねないものでなければならないと信じている。
45 米国ペルー貿易協定の基準を守るようTPPでも約束されることをACTUとして期待する。したがって、次の点をTPPに勧告する。
○ 中核的労働基準が協定の基本的不可分の構成要素であることを明瞭に、包括的に示すこと。(例えば、前文、あるいは冒頭の重要な条項、あるいは中核的労働基準に関する協定本文の章で中核的労働基準を引用するなど)
○ 労働権を尊重する義務が監視され実行されることを保証すること。
○ 中核的労働基準の違反容疑に対する手続きと紛争解決手続きを定めること。(労働に関する紛争は貿易問題の紛争解決手続きと同じ手続きを経るが、その議長はILOが任命するように勧告する)
○ 逸脱禁止条項を設け、参加国は労働基準の改善に向け継続して努力することを約束すること。その中には、国内法令により与えられている労働権保護の水準を貿易や外国直接投資を促進するために低下させないという約束を含むこと。
○ 参加国はILOの全ての中核的条約を批准することを約束すること。
○ 市民社会の参加を保障する責務を強調すること。
○ 協定作成の全ての段階で地域社会と協議するなど、交渉過程が開かれ、民主的で、透明に行われることを強調すること。
環境条項
46 TPPに環境条項を設けることをACTUとして強く勧める。
47 国内での望ましい環境行動、基準、執行の最低基準として、1972年の人間的環境に関するストックホルム宣言、1992年の環境と開発に関するリオデジャネイロ宣言などの国際的な原則・基準、そして多国間の環境協定を尊重し遵守することを環境条項は強調すべきである。
48 投資や貿易を推進するために環境基準を引き下げない、という約束を環境条項に含めるべきである。
49 環境条項には、環境上の義務が守られない場合には適切で相応の対応を取るなどの違反制度を明記すべきである。
透明性と市民社会参加
50 過去の特恵的貿易協定交渉では市民社会組織は交渉への有意義な参加を拒否されてきた。これは容認できない行為であり、TPP交渉では改められねばならない。
51 交渉に関する情報がもっと定期的に、豊富に入手可能になることを、チリ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国のナショナルセンターとともに要求する。
52 そのために、TPPの共同ウェブサイトを作成し、そこに貿易交渉の情報を掲載し定期的に更新することを提案する。そこでは例えば、以下のような情報を掲載すべきである。次回の交渉会議の情報、中心的な交渉メンバーの連絡先、全ての公式報告書、協定草案、提案と対案、貿易などに関するデータ、プレス発表、宣言など。さらにこのウェブサイトには市民社会が交渉に関連する文書を掲載することを認め、特定の課題を巡ってウェブ上のチャットを適宜計画的に行うべきである。
53 さらに、交渉全過程を通じて定期的で真剣な協議を行うよう要求する。協議は実質的なものでなければならないし、市民社会、労働組合、経営者団体などの全ての利害関係者が的確な質問をし、有意義な提案を作れるように出来る限り詳細な情報を提供すべきである。
54 2010年6月サンフランシスコで開催された第二回交渉会議で利害関係者のためのサイドルームを設ける、という米国通商代表部の決定を歓迎する。
55 TPP交渉を通じてオーストラリア政府がサイドルームを支持し、積極的に参加することを要求する。
56 利害関係者のサイドルームについては、批判的な意見を排除したり、特定の団体を優遇したりしないよう、中立的な参加者認定手続きを行うことを強く要請する。
共同宣言
57 ACTUは、ニュージーランド労働組合評議会(NZCTU)、シンガポール全国労働組合評議会(NTUC)、アメリカ労働総同盟・産業別労働組合会議(AFL−CIO)と一緒に、提案されているTPPに関する共同声明を発表した。その協定が均衡が取れたもので、良好な雇用の創造を促進し、働く人々の利益と権利を守り、長期にわたり均衡の取れた経済発展をもたらし、健康的な環境をもたらすものになるようそれぞれの政府が責任を持って交渉するよう、共同して働きかけて行く。(「環太平洋経済提携協定交渉に関する労働組合宣言」月刊JAM2011年8月号 参照)
TPPに関する外務通商省の協議に参加する機会が与えられたことに感謝します。ここで提起された問題についてさらに議論したい時には遠慮せずACTUに連絡してください。