冒頭のあいさつにたった小出幸男JAM会長は、「今年の春闘は、国内景気を活性化するための春闘構築に尽きる」と述べ、実感のない景気回復、統計上の諸外国の景気に支えられたいざなぎ景気を超える景気回復を「内需型産業の活性化へ適度な賃上げを果たさなければならない」これが「労働組合に課せられた最大の課題」と強調。さらに日本経団連が発表した経労委報告について触れ、「従来のものとは違う異質のもの」と前置きし、アメリカンスタンダードを追求してきた結果生じた負の部分、すなわち格差の拡大問題や非典型労働者問題、加えて国内の景気回復などにはほとんど触れず、同時に外国人労働者の受け入れを早期に実現しろといわんばかりのないようだ」と厳しく批判した。また、日本版ホワイトカラーイグゼンプションについても触れ、安倍政権は国会提案を見送る姿勢を示したが、経営側の要求でもあり、参議院選挙後にでも再提出してくる恐れがあるとして「惑わされず、反対の姿勢を堅持を」と訴えた。
中央委員会は、第1号議案「2007春季生活闘争方針に関する件」など11本の議案を審議しいずれも可決決定した。
(1)個別賃金要求 (所定内賃金)
下表のJAM一人前ミニマム基準、標準労働者要求基準への到達(段階的な場合も含む)を目指す水準引き上げ要求を行う。JAM一人前ミニマム基準
1) 地方JAMごとに設定する場合は、上記の水準に2002年度消費者物価地域差指数を乗じた値とする。
2) 地方JAMにおいて地方JAMの賃金全数調査に基づいて設定できる場合は、その水準を優先する。
18歳 20歳 25歳 30歳 35歳 40歳 45歳 50歳 150,000 160,000 200,000 240,000 270,000 295,000 315,000 335,000
標準労働者要求基準
高卒直入者30歳の所定内賃金を26万円、35歳を30万5千円
高卒直入者 30歳 35歳 所定内賃金 260,000 305,000
(2)平均賃上げ要求
1)賃金構造維持分の把握が出来るところでは、次の賃金改善分を要求する。
賃金構造維持分 プラス 2,500円以上2)賃金構造維持分の把握が出来ないところでは、連合・中小共闘の取り組みに連動し、次の平均賃上げ要求を行う。
平均賃上げ要求基準 7,000円以上3)考え方
昨年2,000円以上の賃金改善分要求に対し、消費者物価上昇率のプラス転換、格差是正分等を加味し、賃金改善分として2,500円以上の要求組み立てを行う。
(3)企業内最低賃金要求
1) 年齢別最低賃金の要求基準
18歳 25歳 30歳 35歳 150,000 160,000 192,000 216,000 ※18歳=JAM一人前ミニマム基準、
18歳以外=JAM一人前ミニマム基準 × 80%
2) 全従業員対象最低賃金の要求基準
@最低賃金協定を締結していない単組では、協定の締結を要求する。
A全従業員対象最低賃金の要求基準を次の a) b) c) のうち、最も高い額とする。
a) 企業内の正規労働者における月例最低賃金水準を法定労働時間(2085.7時間)で換算した時間額。
b) 時間額870円
(15万円×12ヶ月/2085.7時間=863円)×(当該の地域別最賃/(東京の地域別最賃=719円))
c) 上のa、bが当該地域別産別最賃との差が10円に満たない場合は、産別最賃のプラス10円以上
3)考え方
@企業内最低賃金協定は、企業内における賃金の下支えをはかることを目的としている。2006年には年齢別最低賃金協定を要求する単組が増加しており、賃金体系是正の一課題として最低賃金協定の比重が高まっている。単組によっては、賃金制度の大幅な改訂から数年を経て、賃金体系の下支えについて組合員の要求が強まっていること、「人手不足」に対応する中途採用者への処遇改善が求められていることを重視していく必要がある。
A法定最賃制度を巡っては、現在厚生労働省で見直しが検討されているが、もとより、産別最賃制度には、労働協約の効力を社会的に拡張しようとする趣旨が存在しており、産別最賃を決定する際のベースとなる個々の企業内最賃協定は、未組織労働者の処遇改善に関し、組織労働者が直接に関与出来る重要な手段であることを重視しなければならない。
B従って、企業内における賃金の下支えと未組織労働者の処遇改善への関与という二つの目的を重視して、企業内最賃協定の締結については、全単組が取り組む課題とする。
(4)是正について
賃金改善要求における是正課題としては、例えば次にあげるものが考えられる。そうした各種是正が、単年度で達成出来ない場合は、複数年の計画等を検討し、到達状況を毎年確認する取り組みを進める。1)賃金水準の是正@JAM一人前ミニマム基準、標準労働者要求基準、に対する個別賃金水準の到達状況を明らかにし、30歳、35歳の一人前労働者の水準をそこまで引き上げていくことを目指す。
Aプロット図等の比較により、企業間格差の是正を目指す取り組みを行う。
2)賃金体系の是正@JAM一人前ミニマム基準と比較して、35歳以下の年齢層では低く、40歳台後半以降の年齢層では高いという賃金構造になっている場合、若年から中堅層の水準を引き上げ、配分を是正する。
A賃金分布が上下に著しく広がっている場合は、年齢別最低賃金協定等による賃金の下支えを強化する。
B賃金制度改訂後3年程度を経たところでは、改めて運用実態を点検・分析し、必要な是正課題を明らかにし、是正を図る。
3)男女間の賃金格差是正「男女間賃金格差問題に関するまとめ」に基づいて、賃金分布状況を把握すると共に、格差要因を洗い出し、格差解消に向けた取り組みを行う。
(1)年間5ヶ月基準または半期2.5ヶ月基準の要求とする。
(2)最低到達基準として、年間4ヶ月または半期2ヶ月とする。
(3)考え方年間収入の安定を図る観点を基本として取り組むことを基本とする。最低限確保すべき基準としての一時金ミニマム(年間4ヶ月または半期2ヶ月)へ全単組の半数が達していない現状を踏まえ、そこに達していないところについては、その到達を目指すものとする。
労働時間に関する労働条件の総点検に基づき、「労働時間の短縮に関する指針」への到達状況を確認し、単組の実態に応じて課題を設定し取り組む。とくに、2000年以降、労働時間に関する労働条件の切り下げが実施され、その回復がなされていない単組では、その回復を目指す。
(1)「改正均等法関連協約改定取り組み方針」に基づき、男女雇用機会均等法改正への対応について取り組む。
(2)「2006労働協約取り組み方針」に基づいて、次の項目について取り組む。
1)労働災害補償の上積み
2)60歳台前半層の継続雇用制度の整備
3)次世代育成支援対策
4)派遣・請負労働者に関する取り組み
地方JAMにおいては、春季生活闘争中央討論集会以降12月から2月第一週までに、役員と専従役職員が一緒に、各単組を訪問し、企業状況と賃金実態を把握した上で、統一要求日の要求提出に向けて、指導を行う。
(1)JAM全体の共闘体制を強める観点から、従来以上に、統一要求日における要求提出の集中を図る。
(2)統一回答指定日における回答引き出しに全力をあげる体制を強化し、3月月内解決に向けた取り組みを強める。地方JAMは闘争委員会を設置し、地方JAM内の相互交流・情報交換を行う体制を強化すると共に、要求・回答・個別賃金水準等に関する情報集約体制を整える。
(3)JAMは、第11回中央委員会終了後ただちに、中央執行委員会構成員で構成する中央闘争委員会を設置する。
(4)要求実現の手段として有効に活用するとの立場から、従来の労使関係を考慮しつつ、ストライキ権を確立する。
(5)産別間の共闘体制として、連合・JCにおいて次の取り組みが追求されている。JAM本部は、各種共闘の効果が最大限に発揮されことを期し、JAMの大手、業種、地方を代表するものとしてエントリーする単組を検討し、各種共闘への登録を調整する。
2月20日(火): 全単組がこの日までに要求を提出する。(2)統一回答指定日
統一回答指定日を次の通りとし、全単組が有額回答の引き出しに全力をあげる。(3)統一交渉ゾーン3月13日(火)、3月14日(水) ※IMF−JCの集中回答日とその前日
1)第一次統一交渉ゾーン = 2月26日の週 企業の短期、中期の見通しについて交渉する、(4)中小の山場と3月段階の取り組み
2)第二次統一交渉ゾーン = 3月5日の週 要求に対する統一回答指定日における回答確約を目指す。
連合の「中小共闘」方針の確定をまって、それに則った取り組みを行う。
要求日 5月31日(木) 回答指定日 6月14日(木)