政策ニュース

2001年10月5日 第2002−6号

《発    行》  J  A  M

《発行責任者》 大山  勝也

《編     集》 社会政策局

TEL:03-3451-2586

mail:syakai@jam-union.or.jp

  
改正雇用対策法等情報(その2)
緊急就職支援助成金と雇用調整助成金・特例措置が発動
 改正雇用対策法等が10月1日から施行されました。(政策ニュース第4号参照)
 雇用保険三事業給付金の整理・統合により、「特定求職者雇用開発助成金」の中で、再就職のために新たに設けられた「緊急就職支援者雇用開発助成金」が、雇用情勢悪化にともない10月1日から6ヵ月間発動されました。また雇用調整助成金・特例措置」(制度の再利用までの期間)も同様に発動されました。

雇用保険三事業給付金の整理・統合

 雇用保険三事業給付金は、雇用調整助成金の業種指定方式の廃止をはじめ以下のとおりになりました。

@雇用調整助成金(政策ニュース4参照)
対象事業主について、指定業種方式を廃止し、業種を問わず全事業所単位での適用が可能になり、支給対象期間が1年以内に限定された。失業率が一定の基準を超えた場合などは、弾力的発動基準が適用される。

A特定求職者雇用開発助成金
経済情勢に応じて45歳から60歳未満の再就職援 助計画対象者を支援する「緊急就職支援者雇用 開発助成金」を新設。
失業率が一定の基準を超えた場合などは、弾力的発動基準が適用される。

B労働移動支援助成金(政策ニュース4参照)
業種にかかわらず、労働組合などが再就職援助計画に同意した送り出し事業主、受け入れ事業主、事業主団体などに助成を行う。

C中小企業労働力確保助成金
助成率と助成期間が引き下げられる代わりに助成の対象人員が増加した。

Dキャリア形成促進助成金
職業訓練の実施、職業能力開発休暇の付与、長期教育訓練休暇制度の導入、キャリアコンサルティング機会の確保に対して支給される。

発動基準とは

 連続する3ヵ月の失業の状況が以下のような状態にあり、雇用失業情勢が全国的に悪化した場合。

@完全失業率が、概ね4.5%以上であること

A有効求人倍率が、概ね0.50倍以上であること

B有効求人倍率の月平均が対前年同期比で10%以上低下していること

C非自発的理由による完全失業者数が、全体の傾向に比べて増加していること

 9月28日の発表で、完全失業率が5.0%である点、有効求人倍率が0.59倍と低下し、職業安定所での特定支給資格者が増加している点が、「雇用に関する状態が全国的に悪化した場合」と認められたため、発動されました。

発動されると

<緊急就職支援者雇用開発助成金>

 45歳以上60歳未満の再就職援助計画対象者を雇い入れる事業主に対し、半年間に支払った賃金相当額の4分の1(中小企業は3分の1)を支給する。来年3月末までの雇い入れが対象。

<雇用調整助成金>

 制度の再利用までの期間は、「事業主が希望する利用期間(1年間)満了日の翌日から起算して1年以上あける」としているものが、発動により来年3月末日まで「雇用調整の最終実施日の翌日から起算して1年間」となる。


1.雇用調整助成金の制度再利用までの期間の特例措置

<通常の場合> 事業主が利用期間を2001年10月1日〜2002年9月30日までと希望。

給付は1年間で100日まで 1年間あける    

2001.10.1 

2002.9.30

2003.10.1より再利用可能

 2002年9月30日になる前に、100日の給付が終了しても、9月30日の翌日から起算して1年以上経たなければ、再利用はできない。

   

<特例措置が発動された場合>

 事業主が利用期間を2001年10月1日〜2002年9月30日までと希望したが、2002年1月末日に、100日の給付が終了した。

100日まで給付済み 1年間    

2001.10.1

2002.1.30

2003.2.1より再利用可能

 本来ならば、再利用は2003年10月1日からになるが、特例措置が発動されると、終了日の翌日から起算して1年間経った、2003年2月1日から再利用ができる。

   

2.特定求職者雇用開発助成金制度新旧対照表

  旧 制 度 新 制 度





公共職業安定所の紹介により次の求職者を雇い入れた事業主

・高齢者(55歳以上の者)
・身体・知的・精神障害者
・母子家庭の母等
・中国残留邦人等永住帰国者
・手帳所持者(炭坑・沖縄・漁業・本四)
・特定雇用機会増大推進地域離職者
・緊急雇用安定地域離職者
・その他の就職困難者

【就職困難者型】

公共職業安定所または適正な運用を期すことのできる無料・有料の職業紹介事業主の紹介による次の失業者を雇い入れた事業主

・高齢者(60歳以上の者)
・身体・知的・精神障害者

・母子家庭の母等

・中国残留邦人等永住帰国者

・手帳所持者(炭坑・沖縄・漁業・本四)

・その他の就職困難者

【再就職支援者型】 緊急就職者雇用開発助成金

 次の求職者を雇い入れる事業主

・雇用に関する状況が全国的に悪化した場合の再就職援助計画対象者(45歳以上65歳未満で必要な者)

・雇用維持等地域における再就職援助計画の対象者(45歳以上65歳未満)

支給内容 雇入れ後1年間に支払った
賃金の1/4(中小企業は1/3)
(重度障害者は1年半で1/3(1/2))
雇い入れ後1年間(再就職支援者型は6ヵ月)に支払った賃金に相当する額として厚生労働大臣が定める方法により算定した額の1/4(中小企業は1/3)
(重度障害者は1年半で1/3(1/2))
支給要件 雇入れ前後計1年間に解雇がないこと

・雇入れ前後計1年間に解雇がないこと及び3人かつ6%を超える特定受給資格者の発生がないこと

・2年超の労働保険料の滞納がないこと

・過去3年間に助成金の不正受給がないこと

・労働基準法等の労働関係法令の著しい違反があった場合は不支給とすることができる