11月29日、労働政策審議会・労働条件分科会が開催され、賃金確保法施行令の改正に関して厚生労働大臣から諮問を受け、即日答申が行われました。この改正案は、今の臨時国会で成立した補正予算に盛り込まれた「未払い賃金立替払い制度上限引き上げ」を定めたものです。
<改正案概要>
対象となる未払賃金の上限 |
現 行 改正後
30歳未満
70万円→110万円
30歳以上45歳未満 130万円→220万円
45歳以上
170万円→370万円 |
◆事実上倒産の場合=97%の者が未払賃金の全額を対象として立替払いを受けることが可能(現行89%)
◆法的倒産を含む全体=94%の者が未払賃金の全額を対象として立替馬払いを受けることが可能(現行86%) |
連合およびJAMは、特に中小労働者にとってきわめて重要である同制度について、上限が低すぎることを従来から主張してきました。改正案の議論で労働側委員は、上限額アップについては評価しつつ、次のような問題点を指摘。制度の有効活用を求めました。
【労働側の主張】
◆事実上の倒産の場合、労働者が未払賃金の存在を証明することが困難であり、運用の改善が必要
◆全ての労働者への周知徹底が必要
◆この制度を労災保険勘定で扱うことには限界がある。労働債権が100%確保される仕組みづくりを求める。
この改正案は平成14年1月1日から施行されます。なお、退職日がこの日以降の退職者から適用されますので、ご注意下さい。
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未払賃金立替払い制度とは?
企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払いするもので、労災保険を利用した制度です。
<立替払いを受ける要件>
1.使用者が…
@1年以上事業活動を行っていること
A倒産したこと
イ.法律上の倒産(破産、特別清算、会社整理、民事再生、会社更正)
ロ.事実上の倒産(中小企業について、事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払い能力がない場合)
2.労働者が…
倒産について裁判所への申し立て等(イ.の場合)又は労働基準監督署への認定申請(ロ.の場合)が行われた日の6ヶ月前の日から2年の間に退職した者であること
<対象となる未払賃金>
労働者が退職した日の6ヶ月前から立替請求日の前日までに支払期日が到来している定期賃金と退職手当のうち、未払となっているもの。いわゆるボーナスは立替払いの対象とはならない。また、未払賃金の総額が2万円未満の場合も対象とはならない。立替払いの額は対象となる未払賃金の8割で、対象となる未払賃金の上限が左表の通り。
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