またもや改革なき負担増
12月4日、経済財政諮問会議が、政府・与党協がまとめた「医療制度改革大綱」(政策ニュース第12号参照)の内容を盛り込んだ「平成14年度予算編成の基本方針」をまとめ、同日、閣議で決定されました。政府は、今回も抜本改革を先送りし、医療制度の将来像を示すことなく、小手先の対応で国民に負担を転嫁しようとしています。
平成14年度予算編成の基本方針要旨
<医療制度改革>
@診療報酬については、賃金・物価の動向、経済動向、保険財政の状況等を踏まえ、必要に応じて引き下げを行い、診療報酬制度・薬価制度の見直しを行う。
A高齢者医療については、低所得者に配慮しつつ、完全定率負担とするとともに、一定以上の所得の者に対しては応分の負担とする。
B高額医療費の自己負担限度額を見直す。
C高齢者医療については、対象年齢を75歳以上に引き上げ、公費負担割合を引き上げる。
D医療費、特に高齢者人口の増を大きく上回って増加する老人医療費について、その伸びを適正なものとするよう、伸び率抑制のための指針を定め、その指針を遵守できるよう有効な方策を検討し、実施するものとする。
E総報酬制の下で、平成15年度から政府管掌健康保険組合の保険料率を予定どおり引き上げ、必要な時に7割給付で保険間の統一を図る。
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開業医の月収、2年で5%増
個人経営の診療所(開業医)や病院などの経営状況を調べた、厚生労働省の「医療経済実態調査(速報)」によると、今年6月の開業医の平均月収(医業収入から医業費用を差し引いた額で設備投資費用も含まれる)は248万8千円、2年前の前回調査より5%増えています。この調査は2年に一度の診療報酬改定の参考にするために実施されます。
12月中旬に山場を迎える中央社会保険医療協議会(中医協・厚生労働大臣の諮問機関)で決まる診療報酬改定率が、政府予算案や医療制度改革法案の内容に大きく影響されるため、その審議の行方が年内の最大の焦点になります。
医療報酬のマイナス改定を
連合は、中医協の山場となる12月12日、14日の9時30分から厚生労働省前で、診療報酬のマイナス改定を求め、中医協・連合推薦委員を激励する300名規模の集会を開催します。
JAMも厚生労働省前の集会に参加し、診療報酬の引き下げを求めていきます。 |