1秒間に地球を7周半まわる光。目に見えているようで見えない「光」の本質の解明に基盤を置き、またその利用方法を考え続けている浜松ホトニクス株式会社。
1953(昭和28)年に設立し、現在は静岡県浜松市を中心に11の事業所と国内外あわせて15の関連会社を持つ。光電子増倍管(真空管)・光半導体素子の製造や、画像や光情報の取得・処理を行う各種製品を開発・製造している。
「人のもの真似をしないようにしよう」「人が真似できないことをしよう」という社風があり、社員全員が研究者という気持ちで仕事をしている。
浜松ホトニクスの製品の多くは、社員が日々の仕事中に発見したことやひらめいたことが取り上げられ、自分たちで研究しながらつくられている。
製品は、血液検査・医用画像診断、材料分析・公害計測、カメラのオートフォーカス、光ディスク、コピー機・プリンタの紙検出、ビデオデッキなど様々なところに使用されている。
また、暗闇でも人の姿が見える暗視鏡や、光の粒子一つひとつを数えられるほど、極端に暗い微弱光領域まで撮影が可能な微弱光撮像用カメラ、神経細胞が情報伝達するとき出るカルシウムイオンの濃度を分析する細胞内カルシウムイオン濃度解析システムなどの製品の製造のほか、製鉄所の圧延鉄板幅制御や、生産ラインの目視検査の自動化などのシステムの開発も行っている。
90年代に入ってからは、天体の観測、人工衛星へ浜松ホトニクスの観測器を搭載するなど、宇宙事業への支援を行っている。
浜松ホトニクス鰍フ従業員は2,132人。組合員数は男性1,250人、女性543人の合計1,793人。
女性の多くは会社の間接部分の事務方でがんばって働いている。掛井さんのように製造部分(現場)で働く女性は少ない。
「現場ではみんなフレキシブルに働いている。言われたことだけではなく、自分で改良・開発ができ、その人の腕で製品の良し悪しが出るところ。女性たちにもモノづくりのおもしろさを知ってもらい、どんどん現場で活躍して欲しいです」と大塚治司副社長は語った。 |