東日本大震災

被災にかかわる労働問題
Q&A

 東日本大震災を被災して会社が無くなり解雇された、希望退職が提案されたなど、雇用にかかわる問題、休業や賃金に関する問題の発生が予想されることから、JAMは顧問弁護団の協力を得て大震災にかかわる労働問題Q&Aを作成したので以下に紹介する。



 
Q1  今回の震災で会社は倒壊(流出)し、社長は操業をあきらめ会社を閉鎖することにしました。従業員が解雇されましたが、どうすればよいでしょうか?
Q2  今回の震災で会社はかなり損壊し、操業は再開されることになりましたが、社長は従業員を減らすことにし、希望退職を行うことを提案しました。どうすればよいでしょうか?
Q3  今回の震災で会社の工場(営業所)が倒壊(流出)し、本社は工場(営業所)を閉鎖することにしました。従業員には、本社または別の工場(営業所)に転勤するように言われました。転勤できない人は会社を辞めるように言っています。どうすればよいでしょうか?
Q4  今回の震災で会社はかなり損壊し、操業再開まではまだかなりの時間が掛かります。会社から再開までは休業するように言われました。(賃金については○○と言われた。)どうすればよいでしょうか?
Q5  震災による通勤困難で会社に出勤できませんでした(会社は休業せず稼働していた)。会社はこの日の賃金をカットし、勤怠上は欠勤の扱いにされました。(納得できません。)。どうすればよいでしょうか。
Q6  震災により自宅が損壊してしまい、避難所に身を寄せています。会社は被害が少なく操業していますが、出社できる状況にありません。どのような扱いになるのでしょうか。
Q7  今回の震災で会社はかなり損壊し、操業は再開されることになりましたが、社長は当面資金繰りが厳しいので、従業員の賃金を減らしたい(労働時間を延ばしたい)と言っています。どうすればよいでしょうか。
Q8  今回の地震(津波)でけがをしました。労災補償の対象になりますか。
Q9  今回の地震で家族がけがをしました。介護しなければなりませんが、どうしたらよいでしょうか。
Q10  今回の地震で精神的な負担により体調が思わしくありませんどうしたらよいでしょうか。





Q1 今回の震災で会社は倒壊(流出)し、社長は操業をあきらめ会社を閉鎖することにしました。従業員が解雇されましたが、どうすればよいでしょうか?

A1 会社が倒壊(流出)したからと言って、自動的に会社がなくなるわけではありませんし、会社との雇用関係が消滅するわけではありません。
解雇の通告を受けた時に初めて雇用関係の取消の申し出を受けた段階に進みます。

 今回のケースでの解雇は、整理解雇に該当しますので、判例法理として確立している整理解雇の4要件からその正当性が問われることになります。
 整理解雇の4要件とは、
@解雇の必要性、
A解雇回避の努力、
B人選の合理性、
C当該労働者・労働組合への説明と協議
の4つをいいます。
 会社全体を閉じるというケースで基本的に問題となるのが@及びCでしょう。
 Cは絶対必要な手順ですから、これを欠いた解雇は他の3要件を満たしていても正当とはみなされません。@については、会社の資産・負債の状態、取引先や銀行など関係先からの支援、特例法などの社会的な支援、なども勘案して再建の可能性を検討したうえで結論が定められるものと思われます。 

 会社が倒壊(流出)したことは大変なことですが、それだけで単純に再建の可能性がゼロになったと決めつけることはできません。
 解雇手続きとしては、該当者が解雇制限期間内(業務上の負傷ないし疾病による休業とその後30日間、産前産後の休業とその後30日間)でないかどうかが問われますし、即日解雇の場合は平均賃金の30日分の予告手当の支払いが必要になります。天災事変により事業の継続が不可能となった場合は予告手当の支払いの除外事由に当たりますが、後記の休業手当以上に厳格な運用が求められますし、除外には所轄労働基準監督署長の承認が要件とされています。

A1−2  【有期契約労働者・非正規労働者の場合の扱い】
 労働契約法第17条で、使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において労働者を解雇することができない、と定めており有期契約労働者の場合の契約期間中の解雇は、通常以上に制約がかかります。

 その一方で、契約期間満了の際にはそれに伴う雇い止めが生じる可能性があります。雇い止めについては、期間の定めのない労働契約と実質的に異ならない状態になっている場合、もしくは、雇用契約についてある程度の継続の期待のある場合など一定の場合には、雇い止めについて解雇権乱用法理の類推適用がなされるという判例法理が確立しています。
 解雇について、正規・非正規労働者での扱いは原則として変わりませんが、従業員を全部ではなく一部を解雇する場合に、非正規従業員を優先的に解雇の対象とすることについて、先に見た人選の合理性との関係が問われることになりますが、単純に非正規労働者を優先してもよいということにはならず、就業の実態にそってケースバイケースの判断が行われるものと思われます。

A1−3 【採用内定の取消】
 ケースは変わりますが、震災での被災を理由に採用内定の取消が生じた場合は、その取消は解雇と同様とみなされ、合理的理由の有無によって扱いが変わります。但し、採用内定は、解約権留保付始期付労働契約と解釈されていますので、解雇も同時に発生している場合などでは、人選の合理性などとも絡んで、「合理的理由」の範囲は雇用関係が確定している通常の労働者に比べて相対的に広く解釈されるものと思われます。
 一方、リーマンショック後には、内定者を採用後、直ちに休業させて雇用調整助成金を受給する道も開かれていますのでこうした制度を活用する選択肢も十分検討されなければなりません。


Q2 今回の震災で会社はかなり損壊し、操業は再開されることになりましたが、社長は従業員を減らすことにし、希望退職を行うことを提案しました。どうすればよいでしょうか?

A2 希望退職の募集は、整理解雇の前段階として解雇回避の努力につながるという解釈が一般的です。したがって、希望退職は、文字どおり本人の希望が最優先されなければならず、会社を辞めるか辞めないかは本人の自由意思で決めることができなければなりません。希望退職とは言いながら、実質的に退職を強要することは許されませんし、度を過ぎた退職勧奨も退職強要とみなされる場合があります。
 当然に、配置転換、職種変更、転勤、出向、応援派遣、教育訓練等で退職を回避できないかどうかは希望退職の募集以前に検討されなければなりません。
労働組合がある場合は、@今後の事業見通し、A事業計画と人員計画、B退職金の手配を含めた資金計画、などを示させたうえで、退職金の上積み、一時金・年次有給休暇の取扱い、寮・社宅などの取扱いなどの募集条件と、募集の人数、募集の期間、退職申出の手続き、人数に達しない場合の協議方法などを事前に取り決めたうえで、募集を行います。合意が整うまでは会社が先行しない確約なども時には必要になります。

 ちなみに、1カ月の期間内に30人以上の離職が伴う場合には、職安への届け出と再就職支援計画の作成・提出などが使用者には義務付けられています。
 被災に便乗した解雇や必要数以上の希望退職の募集もないとは言えません。天災に便乗する悪質な行為には毅然たる対応が必要でしょう。



Q3 今回の震災で会社の工場(営業所)が倒壊(流出)し、本社は工場(営業所)を閉鎖することにしました。従業員には、本社または別の工場(営業所)に転勤するように言われました。転勤できない人は会社を辞めるように言っています。どうすればよいでしょうか?

A3 協議は工場(営業所)の再建の可能性から始めます。可能性があるのならば、それまでの間、一時的な異動や応援などで対応することが交渉の主軸になります。それが無理と判断される場合に、転勤の問題に移りますが、転勤のできる人にはその条件とともに、転勤できない人の取扱いが協議事項になります。

  @ 転勤条件
転勤条件としては、異動先とそこでの仕事内容、仕事内容にかかわる教育訓練等が問題になります。異動に関しては、家族帯同の場合の取扱い、住宅の斡旋、住宅費の補助、転居費用の負担、転居のための休暇などが協議事項として考えられます。
通勤可能な場合は通勤手段、通勤時間の延長に伴う始・終業時間の変更などが協議事項として考えられます。

  A 転勤できない人の扱い
    通勤圏内にある関係企業への出向などの可能性を探るとともに、それも不可能な場合は会社都合による退職として扱い、退職金の上積みなど、先の希望退職の際の条件などが協議事項となります。


Q4 今回の震災で会社はかなり損壊し、操業再開まではまだかなりの時間が掛かります。会社から再開までは休業するように言われました。(賃金については○○と言われた。)どうすればよいでしょうか?

A4 休業について就業規則や労働協約の定めがある場合には、それが法の定めを下回らない限りにおいてその定めにより処遇されます。
 就業規則や労働協約に定めがない場合は、法の定めが適用されますが、民法536条2項(債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない)、労働基準法第26条(使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合使用者は休業期間中当該労働者に平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない)が該当し、会社側に明らかな過失や故意がある場合は前者を適用し賃金の100%、そうでない場合は後者の60%の休業手当の支払いが求められるという考え方が一般的です。いずれの場合も使用者の責めに帰すべき事由による休業とみるかどうかが判断の分かれ目となります。

 厚生労働省はH23年3月18日付でQ&Aを出して今回の震災と会社の休業の関係を説明していますが、その中では、
@事業所の施設・設備が直接的な被害を受け休業する場合は、使用者の責めに帰す休業にあたらない、
A計画停電に伴う休業も同様(但し、停電時間外の休業は事情を総合的に判断して個々に判断)、
B取引先や鉄道・道路の被害の結果、原材料の仕入れや製品の納入ができなくなったことによる休業は、使用者の責めに帰す休業にあたる
 などの基準を示しています。
 この基準を最低限度に、労働組合がある場合はそれを上回る生活保障を求めることが必要です。
 休業に関連して青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県下の災害救助法適用地域に所在する会社に対しては、雇用調整助成金の受給要件が大幅に緩和され、制度を利用しやすくなっています(詳細は「JAM災害対策本部情報」No5を参照)。

 同様に休業に関して労働者(雇用保険の被保険者)は、失業手当の特例措置として在職中でも失業手当を受給することができます(詳細は「JAM災害対策本部情報」No6を参照)が、現在のところでは、これを受給すると、それまでの被保険者期間がゼロに帰し、直後に退職した場合の失業給付や高年齢雇用継続給付などで不利益を招来するなどのマイナスもあるので十分な検討が必要です。
 JAMとしては、津田弥太郎参議院議員とも協力して利用者本位の制度改正を求めています。


Q5  震災による通勤困難で会社に出勤できませんでした(会社は休業せず稼働していた)。会社はこの日の賃金をカットし、勤怠上は欠勤の扱いにされました。(納得できません)。どうすればよいでしょうか。

A5 一般的には、民法536条の規定(債務者危険負担=不可抗力のリスクは債務者(労働者)が負う)により賃金請求権はないとされています。
 今回の震災のような事態に対しては、労働協約や就業規則で賃金や勤怠の関係をどのように決めているかを確認する必要があります。

 月給制などの場合で不可抗力による欠勤は賃金カットされない旨を定めている場合はその規定が適用されます。
 規定がない場合でも過去の不可抗力による欠勤に賃金が支払われてきた実例があり、それが慣行と判断されるケースでは、今回も賃金請求ができると解されます。
 規定も前例もない場合であっても、合理的意思解釈として賃金カットなしということもありえます。現に多くの企業が「自宅待機」として賃金を保障しています。
 また今回の欠勤は不可抗力によるものですから、通信の途絶などにより届け出ができなかった場合でも無断欠勤として懲戒の対象としたり、賃金査定上不利益な取り扱いをすることは許されません。
 不可抗力による欠勤で会社に損害を与えた場合でも、労働者に過失はないので損害賠償を求められることはありません(債務不履行責任は負わない)。


Q6 震災により自宅が損壊してしまい、避難所に身を寄せています。会社は被害が少なく操業していますが、出社できる状況にありません。どのような扱いになるのでしょうか。

A.6  労働者側の事情で就業できないこのケースでは、「使用者の責に帰すべき事由」には該当しないため、法的には、一般的に民法536条の規定により賃金請求権は発生せず、労働基準法第26条の休業手当にも該当しません。
 しかし、生活保障の観点から、収入を確保する取り組みは不可欠です。

 まず、賃金規定などで「不可抗力による欠勤は賃金カットされない」と規定している場合や、不可抗力による欠勤に賃金が支払われた実例があり、これが慣行となっている場合は、賃金請求ができると考えられます。

 賃金全額の支払いを受けることが難しい場合であっても、休業手当等の支給を会社に求めていくことが大切です。今回の震災対策として、雇用調整助成金の給付要件が大幅に緩和されています。生産量減少などの要件を満たしていれば、「従業員が出勤できない等のため事業活動が縮小した場合」として、事業所内で一人だけの休業も対象となるなどの措置が取られています。この制度の活用を軸に、被災者救援の観点で会社との話し合いを進めてください。

 なお、不可抗力により労働者が出勤できないことを理由として、会社が懲戒の対象としたり、賃金査定などで労働者に不利な取り扱いをすることは、法律上認められていません。欠勤が継続したことを理由とする解雇は、その欠勤がやむを得ないと認められるものである限り、解雇権の濫用にあたります。

<厚生労働省・大震災に伴う雇用調整助成金受給要件の緩和について>
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a09-1.html

<厚生労働省・雇用保険失業給付の特例措置について>
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/koyouhoken07.pdf


Q7  今回の震災で会社はかなり損壊し、操業は再開されることになりましたが、社長は当面資金繰りが厳しいので、従業員の賃金を減らしたい(労働時間を延ばしたい)と言っています。どうすればよいでしょうか。

A7  賃金の引き下げ(カットも含む)や労働時間の延長は、たとえ震災が理由であっても労働条件の不利益変更になり、会社が一方的にできることではありません。
労働条件の決定・不利益変更(引き下げ)については、労働協約、就業規則、当事者の合意の三つ場合に区別して対応する必要があります。
(1) 労働協約による労働条件の決定、引き下げの場合
 労働条件が労働協約で定まっている場合は、労働組合が同意し労働協約の改定をしない限り、労働条件を不利益に変更することはできません。労働組合にとって震災による企業状況をふまえた判断が必要となります。
 ただし、既に具体的に発生している組合員個人の権利を奪うこと、特定の組合員を不利益に取り扱うこと、協約内容が著しく不合理であること、組合内部の民主的手続を無視することの場合には無効になります。
 不利益変更を受け入れる場合は、その期間を定めたり、変更前への労働条件の回復にあたっての労使協議の手順なども同時に取り決めておくことが重要です。
(2) 就業規則による労働条件の決定、引き下げ
  1. 就業規則(賃金規定、退職金規程なども含む)で定められている賃金・退職金などの労働条件を切り下げるためには就業規則の変更が必要となり、 就業規則をそのままにして切り下げることは就業規則の定める労働条件の基準に反するものとして無効となります(労働契約法12条)。

     就業規則を変更して、労働条件を不利益に変更する場合には、労働者の合意を要することが原則です(労働契約法9条)。

      労働者との合意がないまま就業規則を不利益に変更するには、周知性と合理性の要件を充足する必要があります(労働契約法10条)。合理性は、「労働者の受ける不利益の程度」、「労働条件の変更の必要性」、「変更後の就業規則の内容の相当性」、代償措置や経過措置その他の関連する労働条件の改善状況等を総合勘案して判断されます。

  2. 就業規則変更手続には、労働基準法上の手続として過半数労働組合(過半数労働組合がない場合には、過半数労働者代表)の意見聴取、労働基準監督署への届出、周知の各手続が必要です(労基法89条、90条、106条)。また、労働契約法も、就業規則変更の手続として、届出と周知が必要としています(労働契約法11条)。
  3. 労働組合は、就業規則による労働条件の不利益変更についても、組合との協議・団体交渉によって解決を図るように求めるべきです。は労働組合は、説明や資料の提示を求め、組合の対案の検討要求などを通じて誠実な交渉を求めていくことが必要です。

(3)当事者の合意による労働条件の決定・引き下げ
  労働条件が当事者の合意によって決定されている場合には、労働者が合意しない限り不利益に変更することはできません(労働契約法8条)。労働者の合意は、厳格な意味での自由な意思に基づくものでなければなりません。


Q8 今回の地震(津波)でけがをしました。労災補償の対象になりますか

A8−1 (業務上災害、通勤災害

 業務中もしくは通勤途上で被災し負傷等した場合、業務中に事業所施設から屋外に避難する際に負傷等した場合は労災の適用が認められます。ただし通勤の途中で、喫茶店でコーヒーを飲んだ・居酒屋でお酒を飲んだ等、通勤経路を逸脱・中断し被災した場合は通勤災害とは認めらません。また、震災時に通勤途上で人命救助をし、その際負傷をした場合でも労災の適用が認められる可能性があります。

【手続き】
 ・労災保険給付請求書に必要事項を記入し、事業主と医師の証明をもらい、事業所の住所を管轄する労働基準監督署に請求書を提出しますが、ほとんどの場合会社が代行してくれます。

・派遣労働者の方は、まず派遣元の事業主に連絡してください。
 派遣元事業主の証明をもらい派遣会社の住所を管轄する労働基準監督署に請求書を提出します。また、派遣先で業務中に被災した場合は、実際の被災状況を把握している派遣先事業主の書類も必要になります。ほとんどの場合会社が代行してくれます。派遣会社が協力的でない場合は、自分で労働基準監督署へ申請しましょう。労災保険を適用するか否かは、派遣会社が判断するのではなく、労働基準監督署が認定します。

 ・事業所が倒壊等したため、事業主から証明をもらうことが困難な場合は、事業主証明がなくても請求書を受け付けてもらえます。会社が申請を代行することが困難な場合は、自分で労働基準監督署へ申請しましょう。
   <労働基準監督署所在地一覧> 
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/location.html
<東北地方太平洋沖地震にともなう労働基準監督署等の開庁状況>
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000015q3n-img/2r98520000015q54.pdf

【給付内容】
 療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付(障害が残った場合)、遺族補償給付(死亡した場合)、葬祭料、傷病補償年金、介護補償給付
   <具体的な内容>はこちらをご参照ください。 財団法人 労災保険情報センター http://www.rousai-ric.or.jp/

A8−2 (業務外
 自宅にいるとき等に被災し負傷したときには、労災は適用されません。
 負傷により就業することができず、かつ賃金を受けることができない(有給休暇がなくなった等)場合は、健康保険から傷病手当金が支給されます。


Q9 今回の地震で家族がけがをしました。介護しなければなりませんが、どうしたらよいでしょうか。

A9 介護休暇・介護休業を取得することができます。
 以下は、育児介護休業法に定められている介護休暇・介護休業の概要です。会社により育児介護休業法を上回る制度を定めているところもあります。詳細は育児介護休業法や会社の就業規則をご覧ください。
育児介護休業法の内容(最低基準)
対象となる家族
 配偶者、父母、子、配偶者の父母
 同居しかつ扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫
【介護休暇・介護休業の日数】
 介護休暇=対象家族1人ならば5日、2人以上は10日
 介護休業=対象家族1人につき通算93日
【介護休暇・介護休業中の賃金】
 賃金の有無は会社ごとに定められています。
 介護休業は、休業中に賃金を受けることができない場合には雇用保険から介護休業給付金が支給されます(最高93日分)。介護休業期間終了後に申請し一時金で支給されます。
【期間を定めて雇用されている方の介護休業】
 介護休業は、次のいずれにも該当する場に取得することができます。
 ・同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上。
 ・介護休業開始予定日から93日を経過する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者。

<厚生労働省・育児介護休業のあらまし>
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/27.html


Q10 今回の地震で精神的な負担により体調が思わしくありませんどうしたらよいでしょうか。

A10 災害等の大きなショックを受けると、心も傷つくことがあります。心が傷を受けると、眠れない、イライラする、不安が強い、あの時の光景が繰り返し浮かぶ、身体の調子が悪い等の症状が出ることがあります。全国の「精神保健福祉センター」では、今回の地震・津波に被災し不安を感じていらっしゃる方への心の医療相談に応じています。相談料は無料です。また、保健所でもホットラインを設置して相談に応じているところもあります。無理をしないで早めに専門家に相談しましょう。

 <全国の精神保健福祉センター>