2011年春闘討論集会開く
2011年春闘方針大綱を討議したJAMの討論集会が12月6-7の両日熱海市で開かれ、全国から360人余の地方・単組の役員が参加した。
基本スタンスでは「労働条件の復元・格差是正に向けた取り組み」「すべての労働組合が1%を目安に賃金を含め適正な配分を求めていく」との連合方針を踏まえ、JAMとして、2011年春季生活闘争を「組合員の参加で社会を動かす」取り組みの第一歩と位置付け、賃金の絶対水準を重視し、賃金実態の把握と開示、賃金制度の確立を着実に進めていくことにしている。
(1)賃金構造維持分の確保を基本とし、賃金是正・改善を含む要求を行う。
(2)賃金制度の確立に向けた取り組み
(3)企業内最賃協定の締結
(4)この間の企業業績の回復に応じた一時金水準の回復を目指す。
1、標準労働者要求基準を次の通りとする。
高卒直入者 | 30歳 | 35歳 |
所定内賃金 | 260,000 | 305,000 |
2、JAM一人前ミニマム基準を、次の通りとする。
18歳 | 20歳 | 25歳 | 30歳 | 35歳 | 40歳 | 45歳 | 50歳 | |
所定内賃金 | 156,000 | 170,000 | 205,000 | 240,000 | 270,000 | 295,000 | 315,000 | 335,000 |
(3)賃金の是正・改善について
- 賃金制度のあるところでは賃金構造維持分を確保する。
- 賃金制度はないが、賃金実態の把握に基づいて推計できる場合は、その相当分を要求し、確保する。
- 賃金制度がなく、賃金構造維持分の推計もできない場合は、次の平均賃上げ要求を行う。
- 平均賃上げ要求基準 4,500円以上
2.企業内最低賃金協定
- 賃金実態を把握し、その実態を労使で共有する取り組みを強める。
- 18歳初任者賃金を出発点に、一定の勤続年数を重ねた一定の年齢ポイントにおいて、目指すべき賃金水準を検討する。すぐには実現出来なくても、将来的にあるべき賃金水準について、地域・規模など社会的な水準を参考に労使で意見交換できるような取り組みを強める。
(1)企業内最低賃金協定を締結していない単組では、
①18歳以上最賃協定(2)地域別最低賃金引き上げの動向を踏まえ、800円を下回る協定額については、直ちに引き上げを行うこととし、協定金額に関する基準を次の通りとする。
②全従業員最賃協定
③年齢別最賃協定
の何れかについて、協定の締結を要求する。
5.非正規労働者に対する処遇の改善1.18歳正規労働者月例賃金を、所定労働時間で割戻した時間額。3.一時金要求
2.実在者がいない場合は、18歳正規労働者月例賃金として、実態カーブからの推計値を用いる。
※参考値(JAM一人前ミニマム18歳基準の法定労働時間による時間額換算)3.18歳未満の労働者に対する適用ルールについては別途定めるものとする。
時間額 900 円に、2010年度地域別最低賃金全国加重平均 730 円に対する各都道府県最低賃金の比を乗じた額
156,000円 × 12カ月 ÷ (365日÷7日×40時間)= 897.5円 → 900円
要求時間額 = 900円 × 当該都道府県最低賃金 ÷ 730円
※上記の換算が、昨年までの計算値を下回る県については従来通りとする。
4.年齢別最低賃金協定基準を下表の通りとする。
18歳 25歳 30歳 40歳 156,000 164,000 192,000 216,000 ※JAM一人前ミニマムの18歳基準から35歳以下の各ポイントについて、
JAM一人前ミニマムの80%を基準とする。
この間の企業業績の回復に応じて、一時金水準の低下に歯止めを掛ける、または、水準の回復を目指す取り組みを行うこととし、要求基準を次の通りとする。
(1)年間 5 カ月基準または半期 2.5 カ月基準の要求とする。
(2)最低到達基準として、年間 4 カ月または半期 2 カ月とする。
4.労働時間に関する取り組み
(1)時間外割増率の引き上げ
法定時間外割増率の引き上げは、制度の趣旨として時間外労働を抑制するものであることを重視し、休日労働時間を含む月 45 時間を超える時間外割増率は 50 %への到達を目指し、それが 25 %になっている場合は、最低でも 25 %を超えたものとする(2)年次有給休暇取得促進運動
総実労働時間の短縮、ワーク・ライフ・バランス実現に向けた職場環境の整備に向け、誰もが 10 日以上取得することを基本とする年休取得促進運動の強化をはかる。(3)労働時間に関する指針に基づく取り組み
「労働時間に関する指針」に基づく何らかの取り組みを進める。特に、年間 2,000 時間を超えた所定労働時間については、中長期的な課題として短縮に向けた取り組みを強化する。
- 高齢者雇用安定法(2004年6月改正)では、60歳定年制を採用している場合に、65歳までの高齢者雇用継続制度の労使協定化を法的な義務として定めている。
※同法は、2006年4月1日から以下の通り段階的に実施。
2006年4月~2007年3月 62歳まで
2007年4月~2010年3月 63歳まで
2010年4月~2013年3月 64歳まで
2013年4月~ 65歳まで
8.労働協約に関する取り組み
- 労使協定が締結出来なかった場合も、301人以上の企業では2009年3月31日以降、300人以下の企業では、2011年 3 月31日以降、労使協定の締結が法的義務となる。
- 従って、高齢者継続雇用に関する労働協約の未締結単組においては、JAMの「65歳までの雇用確保に関するJAM方針の補強について」(2005年定期大会決定)に基づく、労働協約の締結に取り組むこととする。
(1)メンタルヘルス対策の強化
(2)企業内労災補償の引き上げ
(3)育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法に基づく取り組み
(4)税制適格年金制度廃止に向けた退職金・企業年金制度の整備
(5)裁判員制度に掛かる特別有給休暇の確立
- 賃金実態の把握により、JAM一人前ミニマム、標準者要求基準に基づく、個別賃金水準を基本とした取り組みについて、最低でも30歳、35歳の現行、要求、回答水準の表示が出来るよう単組への指導を強める。賃金実態の把握が十分でない場合は、賃金実態の把握に向けた態勢整備をはかりながら、
- ①賃金実態の分析に基づく賃金構造維持分相当分の確保
- ②賃金の改善・是正
- ③賃金制度の確立又は賃金カーブの整備に向けた取り組み ――等を指導する。
- 時間外割増率をはじめとする労働時間の実態を把握し、重点課題に沿った要求の組み立てを指導する。
- 要求検討段階前に、企業状況の把握を徹底する。その上で、要求提出を指導し、雇用問題が発生しているような状態、雇用確保を最優先せざるを得ないと判断される単組については、地協・地方JAM・JAM本部と連携した取り組みを行う。
- 2011年春季生活闘争は、「組合員の参加で社会を動かす」取り組みの第一歩であり、統一要求日における要求提出を重視する。
- 統一回答指定日における回答引き出しに全力をあげる体制を強化し、連合方針も踏まえながら、3月月内解決に向けた取り組みを強める。地方JAMは闘争委員会を設置し、地協・地方JAM内の相互交流・情報交換を行う体制を強化すると共に、要求・回答・個別賃金水準等に関する情報集約体制を整える。
- JAMは、第18回中央委員会終了後ただちに、中央執行委員会構成員で構成する中央闘争委員会を設置する。
- 要求実現の手段として有効に活用するとの立場から、ストライキ権については、従来の労使関係を考慮しつつ確立する。
- 産別間の共闘に対する参加体制を次の通りとし、JAM本部は、大手労組会議、業種別部会、地方JAMと連携して以下の3グループをエントリーする。A・B・Cグループのエントリー基準と日程配置については、連合・JCの今後の共闘方針に基づいて調整する。
Aグループ:JAMの大手・業種を代表し、統一回答日にJAM相場の牽引役となる単組
Bグループ:Aグループに準じた役割を担う単組
Cグループ:地場・中小の相場形成に影響力を発揮し得る単組
連合部門別共闘・JC共闘 Aグループ
有志共闘 A・Bグループ
JC中堅・中小共闘 B・Cグループ
(6)大手労組会議は、大手労組間の情報交換を密にすると共に、その情報をJAM全体で共有する。
(7)業種別部会は、情報の交流を密にし、部会の体制強化をはかる。
(8)JAM本部は、地方JAM、大手労組会議、業種別部会と連携し、情報活動に関する体制を整える。
(9)JAM本部は、各方面からの情報集約に基づいて、統一回答日の前段に、統一回答日に向けた取り組みについて示達を発する。
(1)統一要求日 2月22日(火):全単組がこの日までに要求を提出する。
(2)統一交渉ゾーン1.第1次統一交渉ゾーン:要求提出以降、3月○日の週まで。企業の短期、中期の見通しについて交渉する。(2)統一回答指定日を次の通りとし、全単組が回答の引き出しに全力をあげる。
2.第2次統一交渉ゾーン:3月○日の週 要求に対する統一回答指定日における回答確約を目指す。
3月○日(火)、3月○日(水)(4)3月内決着を目指す取り組み
統一回答指定日以降のJAMの闘争状況をふまえ、各種共闘指標を活用しながら、3月月内決着に全力を上げる。
- ヤマ場を含めた具体的な日程と取り組みについては、それまでの情報集約に基づき、全国委員長・書記長会議へ提案し決定する。
- 4月ヤマ場においては少なくともストライキ権を確立し、職場集会などの具体的な行動を起こすことによって解決をはかる。具体的な行動を開始するための基準は中央闘争委員会において設定し、中央闘争委員会および地方JAM闘争委員会の指導の下に行動する。
- 決着が4月以降となった場合、地方JAM役員が直接交渉する旨の文書を4月1日付けで使用者側へ送付し、4月ヤマ場での解決ができなかった場合には、単組交渉に地方JAMの役員が出席し、交渉を促進する。
要求日 5月○日(木)※最終週
回答指定日 6月○日(木)※中旬週
以 上