T.取り巻く環境の特徴
U.JAMの基本的スタンス
V.具体的な要求 W.政策制度要求
X.取り組み方と日程
1.日本経済の概況(1)大企業を中心に企業収益の改善が進んでいる。政府の景気対策効果もあり、7−9月期のGDPは1.1%増(年率換算4.5%)で4期連続のプラス成長となった。しかし、下期以降の先進国経済の下ブレ懸念、円高、経済対策の期限切れ等、先行きへの懸念は強く、雇用情勢にも改善の動きが見られない。 |
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(1)賃金構造維持分の確保を基本とし、賃金是正・改善を含む要求を行う。
(2)個別賃金要求と賃金制度の確立に向けた取り組みを進める。
(3)企業内最賃協定の締結と協定額の引き上げに取り組む。
(4)生活防衛の観点から、この間の企業業績の回復も踏まえ、一時金水準の回復を目指す。
――上記の取り組みを基本として、1%を目安とする配分の是正をはかる。
(1)個別賃金要求基準
標準労働者要求基準、JAM一人前ミニマム基準への到達を基本として、個別賃金絶対額水準を重視していく。そのため、各単組は、個別賃金水準の開示に努める。
@標準労働者要求基準を次の通りとする。
高卒直入者 30歳 35歳 所定内賃金 260,000 305,000
AJAM一人前ミニマム基準を、次の通りとする。
18歳 20歳 25歳 30歳 35歳 40歳 45歳 50歳 所定内賃金 156,000 170,000 205,000 240,000 270,000 295,000 315,000 335,000 ※参考:JAMから連合に登録する業種別代表銘柄は、賃金全数調査の業種別部会集計に基づいて、35歳技能職・所定内賃金として算出する。
【参考】なお、標準者要求基準も上回っている場合は、JCの以下の基準を到達目標基準として活用する。
IMF−JC【基幹労働者(技能職35歳相当)の「あるべき水準」】
※基本賃金は、所定内賃金から通勤交通費、地域手当、出向手当、生活関連手当(家族手当・住宅手当等)等を除いた賃金。
* 目標基準 : めざすべき水準 基本賃金 338,000円以上 * 到達基準 : 到達すべき水準 基本賃金 310,000円以上 * 最低基準 : 全単組が最低確保すべき水準 到達基準の80%程度(24.8万円程度)
※目標基準は、賃金構造基本統計調査、製造業、生産労働者、1,000人以上、第9十分位を参考に算出。
※到達基準は、賃金構造基本統計調査、製造業、生産労働者、1,000人以上、第3四分位を参考に算出。
(2)賃金水準の維持について
@賃金制度のあるところでは賃金構造維持分を確保する。
A賃金制度はないが、賃金実態の把握に基づいて推計できる場合は、その相当分を要求し、確保する。
B賃金制度がなく、賃金構造維持分の推計もできない場合は、次の平均賃上げ要求を行う。
平均賃上げ要求基準 4,500円以上
(3)賃金の是正・改善について
@ここ数年間に、賃金構造維持分を確保できなかった単組および賃金制度がなく妥結額が4,500円未満の単組では、その実態を労使確認し、賃金水準の回復を目指し、5年以内を目安とする中期の是正目標を定め、初年度の取り組みとして1,500円以上の水準引き上げを目指す要求を組み立てる。
A賃金構造維持分を確保してきた単組でも、人材確保、初任給の引き上げ、賃金分布の偏り・歪み等に対し、企業状況や必要に応じて、賃金改善・是正の要求を組み立てる。複数年を掛けて是正に取り組むところでは、標準労働者要求基準、JAM一人前ミニマム基準を活用し、人材確保や格差是正の観点から水準の引き上げや賃金カーブの整備に向けた取り組みを行う。
(4)賃金制度の確立または賃金カーブの整備及び個別賃金要求基準に基づく格差是正に向けた取り組みや要求を行う。
@賃金実態を把握し、その実態を労使で共有する取り組みを強める。
A18歳初任者賃金を出発点に、一定の勤続年数を重ねた一定の年齢ポイントにおいて、目指すべき賃金水準を検討する。すぐには実現できなくても、将来的にあるべき賃金水準について、地域・規模など社会的な水準を参考に労使で意見交換できるような取り組みを強める。
(1)企業内最低賃金協定を締結していない単組では、
@18歳以上最賃協定(2)地域別最低賃金引き上げの動向を踏まえ、800円を下回る協定額については、直ちに引き上げを行うこととし、協定金額に関する基準を次の通りとする。
A全従業員最賃協定
B年齢別最賃協定
のいずれかについて、協定の締結を要求する。
1.18歳正規労働者月例賃金を、所定労働時間で割戻した時間額。
2.実在者がいない場合は、18歳正規労働者月例賃金として、実態カーブからの推計値を用いる。
※参考値(JAM一人前ミニマム18歳基準の法定労働時間による時間額換算)3.18歳未満の労働者に対する適用ルールについては別途定めるものとする。
時間額900円に、2010年度地域別最低賃金全国加重平均730円に対する各都道府県最低賃金の比を乗じた額
156,000円×12カ月÷(365日÷7日×40時間)=897.5円→900円
要求時間額=900円×当該都道府県最低賃金÷730円
※上記の換算が、昨年までの計算値を下回る県については従来通りとする。
4.年齢別最低賃金協定基準を下表の通りとする。
18歳 25歳 30歳 35歳 156,000 164,000 192,000 216,000 ※JAM一人前ミニマムの18歳基準から35歳以下の各ポイントについて、
JAM一人前ミニマムの80%を基準とする。
(1)年間5カ月基準または半期2.5カ月基準の要求とする。
(2)最低到達基準として、年間4カ月または半期2カ月とする。
(1)時間外割増率の引き上げ
法定時間外割増率の引き上げは、制度の趣旨として時間外労働を抑制するものであることを重視し、休日労働時間を含む月45時間を超える時間外割増率は50%への到達を目指し、それが25%になっている場合は、最低でも25%を超えたものとする。
(2)年次有給休暇取得促進運動
総実労働時間の短縮、ワーク・ライフ・バランス実現に向けた職場環境の整備に向け、誰もが10日以上取得することを基本とする年休取得促進運動の強化をはかる。
(3)労働時間に関する指針に基づく取り組み
「労働時間に関する指針」に基づく何らかの取り組みを進める。特に、年間2000時間を超えた所定労働時間については、中長期的な課題として短縮に向けた取り組みを強化する。
※なお「時給ベースで正規労働者を上回る賃金の引き上げを行うものとする」(連合方針)に対応して取り組み場合は、賃金構造維持分を時間給換算したものを、引き上げ基準の目安とする。
(1)高齢者雇用安定法(2004年6月改正)では、60歳定年制を採用している場合には、定年制の廃止、65歳まで定年延長または継続雇用措置の採用を定めている。
(2)継続雇用制度の場合、希望者全員を採用しない場合は、その採用基準を労使協定で定めなければならない。300人以下の企業では、2011年3月31日まで、その基準を就業規則で定めることも適法であったが、2011年4月1日以降は、労使協定による定めを必要とする。
(3)従って、高齢者継続雇用に関する労働協約の未締結単組においては、JAMの「65歳までの雇用確保に関するJAM方針の補強について」(2005年定期大会決定)に基づく、労働協約の締結に取り組むこととする。
(1)メンタルヘルス対策の強化
(2)企業内労災補償の引き上げ
(3)育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法に基づく取り組み
(4)税制適格年金制度廃止に向けた退職金・企業年金制度の整備
(5)裁判員制度に掛かる特別有給休暇の確立
(1)国内需要と雇用を創出する経済対策・新成長戦略の推進による新たな雇用創出と安定的な名目成長の実現(2)雇用の安定とセーフティネットの整備
・地域活性化に向けた中小企業・地場産業の育成
・公共関連施設の耐震化など良質な公共事業や住宅建設の促進
・雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金の運用緩和と上限額引き上げ(3)ディーセントワーク実現に向けた労働関係法制の整備
・雇用戦略対話での合意に基づく最低賃金水準の引き上げ
・雇用保険制度と生活保護制度の隙間をうめる求職者支援制度の確立
・継続審議となっている、労働者派遣方改正案の早期成立(4)公正な取引関係の実現
・改正労働基準法第37条の割増率引き上げにおける中小企業猶予措置の早期廃止
・公正取引委員会が示した「優越的地位の濫用ガイドライン」の実効ある運用
・公契約基本法と公契約条例の制定
@源泉徴収票の受取時期に合わせた「あなたの税金計算シート」の活用、
A2月以降の確定申告時期にあわせた「医療費控除を受けよう運動」――の推進をはかる。
(1)賃金実態の把握により、JAM一人前ミニマム、標準者要求基準に基づく、個別賃金水準を基本とした取り組みについて、最低でも30歳、35歳の現行、要求、回答水準の表示が出来るよう単組への指導を強める。賃金実態の把握が十分でない場合は、賃金実態の把握に向けた態勢整備をはかりながら、
@賃金実態の分析に基づく賃金構造維持分相当分の確保(2)時間外割増率をはじめとする労働時間の実態を把握し、重点課題に沿った要求の組み立てを指導する。
A賃金の改善・是正
B賃金制度の確立または賃金カーブの整備に向けた取り組み
――等を指導する。
(3)要求検討段階前に、企業状況の把握を徹底する。その上で、要求提出を指導し、雇用問題が発生しているような状態、雇用確保を最優先せざるを得ないと判断される単組については、地協・地方JAM・JAM本部と連携した取り組みを行う。
(1)2011年春季生活闘争は、「組合員の参加で社会を動かす」取り組みの第一歩であり、統一要求日における要求提出を重視する。
(2)統一回答指定日における回答引き出しに全力をあげる体制を強化し、連合方針も踏まえながら、3月月内解決に向けた取り組みを強める。地方JAMは闘争委員会を設置し、地協・地方JAM内の相互交流・情報交換を行う体制を強化すると共に、要求・回答・個別賃金水準等に関する情報集約体制を整える。
(3)JAMは、第18回中央委員会終了後ただちに、中央執行委員会構成員で構成する中央闘争委員会を設置する。
(4)要求実現の手段として有効に活用するとの立場から、ストライキ権については、従来の労使関係を考慮しつつ確立する。
(5)産別間の共闘に対する参加体制を次の通りとし、JAM本部は、大手労組会議、業種別部会、地方JAMと連携して以下の3グループをエントリーする。
A・B・Cグループのエントリー基準と日程配置については、連合・JCの今後の共闘方針に基づいて調整する。
(6)大手労組会議は、大手労組間の情報交換を密にすると共に、その情報をJAM全体で共有する。
Aグループ : JAMの大手・業種を代表し、統一回答日にJAM相場の牽引役となる単組 Bグループ : Aグループに準じた役割を担う単組 Cグループ : 地場・中小の相場形成に影響力を発揮し得る単組
連合部門別共闘・JC共闘 Aグループ 有志共闘 A・Bグループ JC中堅・中小共闘 B・Cグループ
(7)業種別部会は、情報の交流を密にし、部会の体制強化をはかる。
(8)JAM本部は、地方JAM、大手労組会議、業種別部会と連携し、情報活動に関する体制を整える。
(9)JAM本部は、各方面からの情報集約に基づいて、統一回答日の前段に、統一回答日に向けた取り組みについて示達を発する。
(1)統一要求日 2月22日(火):全単組がこの日までに要求を提出する。
(2)統一交渉ゾーン
1.第1次統一交渉ゾーン : 要求提出以降、2月28日の週まで。企業の短期、中期の見通しについて交渉する。(2)統一回答指定日を次の通りとし、全単組が回答の引き出しに全力をあげる。
2.第2次統一交渉ゾーン : 3月7日の週 要求に対する統一回答指定日における回答確約を目指す。
3月15日(火)、3月16日(水)
(4)三月内決着を目指す取り組み
統一回答指定日以降のJAMの闘争状況をふまえ、各種共闘指標を活用しながら、3月月内決着に全力をあげる。
(1)ヤマ場を含めた具体的な日程と取り組みについては、それまでの情報集約に基づき、全国委員長・書記長会議へ提案し決定する。
(2)4月ヤマ場においては少なくともストライキ権を確立し、職場集会などの具体的な行動を起こすことによって解決をはかる。具体的な行動を開始するための基準は中央闘争委員会において設定し、中央闘争委員会および地方JAM闘争委員会の指導の下に行動する。
(3)決着が4月以降となった場合、地方JAM役員が直接交渉する旨の文書を4月1日付けで使用者側へ送付し、4月ヤマ場での解決ができなかった場合には、単組交渉に地方JAMの役員が出席し、交渉を促進する。
要 求 日 5月26日(木)
回答指定日 6月16日(木)
以 上